投資先の「いい会社」

株式会社竹内製作所

(長野県)設立年:1963年

世界のニーズを具現化する、いい会社

竹内製作所は小型に特化した建設機械メーカーで、ミニショベルとクローラーローダーを軸にグローバルに事業を展開しています。特に主力製品のミニショベルは市場を創造、けん引してきたことから、欧米を中心に世界でゆるぎない評価を獲得しています。

【特徴 人】

●創造・挑戦・協調
竹内製作所は、最もTAKEUCHIらしい行動のあり方について、「創造(Creation)」・「挑戦(Challenge)」・「協調(Cooperation)」を「3つのC」として社是に位置付けています。このTAKEUCHIイズムは社内に浸透していて、顧客が求めているものを聞き出すと、その実現に向けて全部署がスピード感を持って動くことが当たりまえになっているのです。例えば「作業中に携帯電話の充電ができたらいいな」といった些細なニーズも見逃さず、ミニショベルに充電機能を追加したそうです。
同社の本部オフィスは何かあればすぐに部署間で相談しやすいレイアウトになっていて、社長室もありません。経営陣も各部署に顔を出して積極的にコミュニケーションを図っています。こうしたオープンな社風が、会社一丸(協調)となって顧客ニーズに応える商品開発(創造)に挑戦し続ける企業文化の土台となっています。

【特徴 匠】

●2つの世界初
1つ目の世界初は、1971年に開発したミニショベルです。当時、ショベルカーは大型のみで小型のものはなく、大型のショベルカーで作業が難しい工事はツルハシなどを使った手作業でした。創業者で現会長の竹内明雄氏が知り合いの土木事業者から大型ではなく、価格が手ごろでコンパクトなショベルカーはできないかという相談を持ち掛けられたことがきっかけとなり、アイディアの具現化に試行錯誤を重ね、様々な代替部品を取り寄せ、世界初のミニショベルが完成したそうです。その後ミニショベルは土木作業員のツルハシ代わりとして建設現場で広く受け入れられ、急速に普及しました。それまで手作業だと1週間かかっていた仕事が1日に短縮され、重労働からも解放されたそうです。
2つ目の世界初は、1986年に開発したクローラーローダーです。ローダーは土砂の運搬や積込、整地などで用いられる建設機械です。それまでタイヤ駆動式だったものをクローラー駆動式(=無限駆動式)にすることで、不整地やぬかるみでの掘削、整地の作業安定性が向上して圧倒的な支持を得ました。特に粘土質の土地が多い米国では欠かせない建設機械となっています。
  • 日の丸をイメージした赤と白のツートンカラーの製品

●世界で選ばれるTAKEUCHI
ミニショベルの平均的な稼働時間は、海外では年に2000時間と日本の約2倍にのぼります。海外の顧客にとっては、単なる仕事用の建設機械ではなく、1日の大半を過ごす空間となる「愛機」であり、それだけにユーザーの視点を第一に考えられた製品が求められます。竹内製作所の強みは製品に対する市場評価の高さです。パワフルであることに加え、過酷な使用条件を考慮にいれた耐久性、意のままに滑らかにコントロールできる操作性、広々とした運転空間で長時間作業でも疲れにくい快適性に優れていて、乗ればよさを実感できるという自負があるとのことです。さらに、外観の美しさや居住性にもこだわっていて、基本仕様に表れない部分にも重きを置いたユーザーフレンドリーであることが評価され、顧客からは「建機のベンツ」と呼ばれることもあるそうです。この愛称は顧客の「愛機」に相応しい品質・性能を備えた製品を提供し続けていることの証です。
●世界のニーズを具現化するビジネスモデル
竹内製作所は1978年にミニショベルの輸出を開始していますが、メーカーが乱立する国内ではなく、当時ミニショベル市場では未開拓といえる欧米に経営資源を集中したことが奏功して確固たるポジションを築いています。なんと、あの東西ドイツを隔てていたベルリンの壁を壊す作業に同社のミニショベルが使われました。世界中で注目された象徴的な出来事です。
世界での市場ポジションを支えるのは、世界各国に構築された強固なディストリビューター(販売代理店)網です。ユーザーの要望を直に聞くことのできるディストリビューターとの対話を通じて、顧客のニーズを適切に把握できる体制が構築されています。特筆すべきは、現場の声を真正面で受け止め、どこよりも早く製品に反映させるスピードと開発力の高さです。品質と顧客ニーズにこだわる同社製品は、結果として製品価格が競合よりも割高となっていますが、それでも信頼性の高い同社製品を支持する強固な顧客基盤があるのです。
  • 世界のニーズを集約するディストリビューター網

【鎌倉投信の視点】

鎌倉投信では「匠」のテーマで竹内製作所に投資しました。世界に張り巡らされたディストリビューター網を通じて顧客のニーズを集約し、全社で一致団結して迅速に具現化する経営姿勢と技術力を高く評価しています。そして、製品の強みをさらに発展させながら自動化や電動化などプラスαの付加価値を提供するための開発や改善を絶えず進める同社が、これからも進化し続けていくことを期待しています。
  • 代表取締役 社長
    竹内 敏也 氏

株式会社 竹内製作所
ミニショベル、クローラーローダー等の小型建設機械を開発、製造し、欧米を中心に世界で販売するメーカー。1963年創業。本社は長野県埴科郡坂城町。東証プライム上場。
https://www.takeuchi-mfg.co.jp/
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