出口戦略とは(その2)

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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
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政府は27日、新型コロナウィルス対策として、赤字国債を財源とした230兆円規模(事業規模ベース)の補正予算(第一次および第二次合計)を閣議決定しました。
もとより新型コロナウィルス対策は必須ですが、金融の異次元緩和と日銀による株式購入(今回、上場投信の買取枠を年間6兆円から12兆円に拡大させ、日銀による上場投信保有残高は約30兆円と、国内上場企業の実質的な筆頭株主、つまり上場企業の国営化という極めて不健全で不可逆的な市場構造を政府自らがつくりだした)、更には借金を更に膨らませて経済を回復させようとするマネー依存型の経済政策のひずみが際限なく拡大することを懸念しています。

アベノミクスは、1.大胆な金融政策 2.機動的な財政政策 3.民間投資を喚起する成長戦略、いわゆる「三本の矢」を柱にした経済政策で2013年から始まりました。
その結果、株価上昇を梃子に景気は上向き、2013年以降、雇用者は約500万人増加し、完全失業者は約100万人減りました。

しかし、そうした成果の一方で、スイスのビジネススクールIMD調査によると、日本の国際競争力は世界30位と1997年以降で最低となりました。
その内訳を観ると「ビジネスの効率性」「政府の効率性」が低く、細項目では、起業家精神、国際経験、企業の意思決定の機敏性、ビッグデータの活用や分析については最下位という、極めて厳しい評価です。
また、「世界男女平等ランキング」は、121位と史上最低、主要先進国の中で著しく後れを取っている結果は、政府が謳う働き方改革の大号令とは真逆です。
こうした国際的評価だけにとらわれる必要はありませんが、日本の持続的発展に向けた足腰がこの10年で強まった、とは到底思えないというのが私の率直な感想です。

経済の持続性の源泉は、実体経済における事業創造・産業創造、それを牽引する人の教育であって、金融はあくまでわき役にすぎません。
そして、社会の持続性の根本は、パンデミック等の危機管理も含めた医療体制、それを支えるための社会保障システム改革、食の安全を確保するための食糧・農業政策、高齢化社会・少子化問題を緩衝する社会構造への変革といった、いわば人の命と営みを守るための社会基盤の再構築にある、と考えます。

しかし、前述の厳しい国際評価、パンデミックに対する明らかな準備不足や行政運営の杜撰さ、そこから生じた経済・社会のリスク拡大から窺えるとおり、
経済・社会の持続的発展に必要不可欠な構造変革が一向に進展しなかったことが浮き彫りになりました。
その状況下で発せられる「100年に1度の危機から日本経済を守り抜いていく」との首相の弁には、空虚感を感じられてなりません。相当失望しています。

新型コロナウィルスは、先送りしてきた、待ったなしの問題の本質を結果的にあぶりだしました。
マネーと借金の肥大化政策をひた走るアベノミクスの先に根本問題の解決はないでしょう。実体経済を真剣に直視した政策への転換、アベノミクスからの脱却こそが本当の出口戦略であると考えます。
次なる政権には、そのことを期待します。
(つづく)


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