「結い 2101」運用報告 社会形成「経営理念がもたらすもの」

月次運用報告書「結い だより」に掲載している記事の一部をブログ形式で掲載しています。
(「結い だより」2020年6月号>「結い2101」運用報告>社会形成)


感染症の流行に限らず、外部環境の変化に対応していくことは企業の重要な経営課題の一つです。
一方で、外部環境が変わっても、大きく変わらないものもあります。経営理念や企業文化はその最たる例だと思います。
「結い 2101」の企業調査にも、経営理念によって会社の存在意義が明確になっているか、理念が文化として根付いているか、といった視点が含まれています。

さて、過日開催した運用報告会では「『結い 2101』の評価視点は企業業績とどう関係があるのか」という質問を受けました。
総論的な回答は本号掲載のQ&A集に委ねるとして、今回のコラムでは経営理念・企業文化の評価に焦点を絞り、この質問への回答を試みます。

過去の文献を紐解くと、興味深い考え方があります。カナダの大学教授が発表したものですが(※1)、経営理念や行動指針(ミッションステートメント)が業績へ影響を及ぼすまでの道筋が示されています(下図)。
換言すると「経営理念や行動指針を用いて企業の目的とそれを達成するための手段を合理的に説明することができていれば、従業員の満足度や組織内の仕組みが変化することを通じて、従業員の行動が変わり業績向上に繋がる」可能性があるという考え方です。
この研究では、アメリカやカナダの企業を対象にしたアンケート調査に基づき、それぞれの道筋の影響度合いを定量的に示しています。
(1)強弱はあるものの、どの道筋にも正の相関関係がある  
   (例:社内制度が整備されている企業では、経営理念を行動に落とし込めている従業員が多い)
(2)特に、従業員満足度の後に続く道筋は影響力が大きい
といった結果が示されています。
図で紹介した要素を全体的に向上させること、中でも従業員満足度を高めることが業績を向上させるための重要な要素であることが示唆されています(※2)。

「結い 2101」の投資先にも特徴的な経営理念や文化を持つ会社があります。
次号以降の本コラムで、今回ご紹介した考え方を参考にしながら、実際の経営理念・企業文化を観察していきます。(続く) 
(資産運用部 橋本)


(※1)Bart, C. K., Bontis, N., & Taggar, S. (2001). A model of the impact of mission statements on firm performance. Management decision.
(※2)業績がよいから制度も充足できて従業員もやる気を出してくれて満足度も高い、といった逆の見方ができる可能性もあります。