危機から垣間見る経営力

毎週発行しているメールマガジンの内容をブログ形式で発信しています。
お楽しみください。
皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメルマガを読んでいただきありがとうございます。

新型コロナウィルスの感染拡大が幾分落ち着き、企業との面談もWeb会議を活用しながら徐々にふえてきました。
その中で感じることは、「コロナ前の環境に戻ることを期待する企業」と 「コロナ禍をきっかけに進化しようとする企業」、に大別されることです。
先日、「結い 2101」の投資先の一つ「マザーハウス」の執行役員の王さんと話をした際もそのことを実感し、運用会社としては、やはり後者の企業に強い興味を持ちました。
特に、「変わるために、変わらない普遍的な価値を深めることが重要である」、という点についてです。

「途上国から世界に通用するブランドをつくる」ことを理念とする同社は、バングラデシュを中心とした途上国で、革製品やジュエリー等を製造し、国内外41店舗を展開して販売しています。
そのため、3月以降は、販売、サプライチェーンともに大きな影響を受け、厳しい経営環境におかれています。
しかし、今後の感染拡大の影響度に応じた複数のシナリオを前提に、綿密な事業計画を立てて周到に準備しているところは流石だと感心しました。
さらにそのことと並行しておこなわれてきた、社内対話のレベルの高さには目を見張りました。
全店舗を閉鎖・休業している2ヶ月間に、社内研修を通じて会社の存在意義や提供価値等のあるべき姿を自問し、トップダウン、ボトムアップ双方向で議論しながら、既存事業を発展させるための新たな4つの施策を決め、実践することにしたそうです。
今の状況を前向きな変化と捉え、決断と行動に転嫁し、新たな価値創造の機会を生み出したのです。

ここで大切なことは、こうした社内対話や事業変革が、突然できるようになるかといえばNOでしょう。
常日頃から、経営理念などの大きな方向性が共有され、挨拶などコミュニケーションのベースが習慣化され、気軽に相談・提案ができるような心理的安心があるからこそ、でしょう。
つまり、対話の土台となる信頼形成と個々の思考力が日々の実践の中で培われており、それこそが変化に対応する上で最も大切な資産(企業価値)となっているのです。

世の中は常に変化しています。経済も社会も同じ環境が続くことはありません。
それは、今回の新型コロナ禍に拘わらず、時として大きな自然災害や経済的パニック等で加速し、おおきなうねりとなって表面化することがしばしばです。
そうした中で企業が存続し続けるために必要なこととは、
  1. 互いを信頼し、対話を深め、協働し、どのような環境下でも挑戦し続ける企業風土を醸成し続けること
  2. 変化への対応を具現化させる商品・サービスの開発など、飽くなき価値創造への挑戦
  3. 自社の強みを土台にした事業領域や商品ライフサイクル等の分散
  4. 財務(自己資金や資金調達力)、物理的環境、働き方の多様性を含めた事業継続(BCP)対応
であると考えます。

また、これらのことは、社内だけで完結できるものでもありません。
例えば、取引先や金融機関等の社外のパートナー企業との信頼関係を強固にしておくことが不可欠です。
今回例に出したマザーハウスさんや、以前メルマガでも紹介した前田工繊さんが、日頃から丁寧に金融機関と対話を重ねていることは、いざという時に最短で資金繰りを確保し、事業継続の安定化を図る上で極めて重要です。
しかし、こうした社外パートナー企業に「義」や「信」を尽くすことを当たり前にやっている会社は多くはありません。
経営に苦しむ会社は、往々にしてこの点を疎かにしていることを実感しています。

今回、あらゆるもののデジタルシフト、多様な働き方への変化は今後も加速し、不可逆的でしょう。
しかし、経営の根っこにある「価値観」や「いい会社」として取り組むべき先に挙げたポイントは、何ら変わることはありません。
経営の本質を捉えて、日頃から実践を尽くすことこそが、大きな変化を機会に変える力になるのではないでしょうか。

鎌倉投信がお届けする「心を結ぶ」メールマガジン。是非ご登録ください。
登録フォームはこちら
「いい会社」企業情報