「結い 2101」運用報告 社会形成「経営理念がもたらすもの(2)」

月次運用報告書「結い だより」に掲載している記事の一部をブログ形式で掲載しています。
(「結い だより」2020年7月号>「結い2101」運用報告>社会形成)


前回のコラムの続き)
結いだより第123号では「経営理念等が浸透すれば、組織の仕組みや従業員の満足度が変化することなどを通じて、業績向上に繋がり得る」という考え方を紹介しました。
「結い 2101」投資先の理念も三"社"三様で優劣をつけることはかないませんが、今回は国土インフラづくりに貢献する前田工繊さんの理念を紹介します。前田工繊さんのグループ理念は「基本理念」「経営理念」「行動理念」と3階層になっていますが、今回スポットライトをあてるのは「基本理念」です。

「基本理念:人と人との良いつながりがすべての基本であり目標です」

当たり前のことのようですが、シンプルなことを実践に落とし込めていることが同社の強さの一つではないか、と捉えています。

昨年、同社の前田会長が工場を案内してくださったとき(※1)のことを振り返ると、この「基本理念」の浸透度合いが垣間見えます。まず、すれ違った社員の方々が必ずといっていいほど挨拶をしてくださいました。訪問当時、私は企業訪問の経験が浅かったため、他社との比較感がありませんでしたが、様々な現場を訪問するにつれ今では、挨拶一つをとっても会社の個性が出ると感じています。
また、会長と社員の方々の距離感が近いことが記憶に残っています。一般的には、上級管理職と社員の間には距離感があり、どことなくぎこちない空気が流れるものだと思うのですが、同社の場合、自然体でコミュニケーションを取り合っている印象を受けました。
最後に、前田会長は当時御年73歳でしたが、歩くのがとても速い…。普段から経営トップが現場に出向き、積極的に社員と話している姿が想像できました。

昨今、世の中ではリモートワーク導入が急激に進み、社内コミュニケーションの場が減ってきているのではないでしょうか。業務に必要な内容に関してはweb会議などを通じてやり取りできますが、何気ない挨拶や雑談を交わす機会はなかなか生まれません。前田工繊さんの基本理念が示すように、意識的にコミュニケーションの"インフラ"を整備していくことがこれから一層重要になっていくと考えます。

さて、理念と業績との関係に戻ります。今回紹介した前田工繊さんの業績は堅調ですが、理念が特徴的であっても業績に伸び悩む会社もあり、一概に理念等と業績の関係を断言することはできません。一方で、当社では、「理念等を通じて社内外に自社の存在理由を明確に示し、社員や顧客などの関係者を惹きつけることができる魅力的な会社」はこれからの時代に繁栄していく会社である、という仮説を持って企業調査を進めています。
「結い 2101」設定から10年超が経過しましたが、この間に社会の様子は少しずつ変化しています。転職者が増えるなど雇用の流動化が若者を中心に進んでいく中(※2)、若者は「利益の創出」だけではなく「社会をよりよくすること」を重視する傾向があるといわれており(※3)、ますます経営理念の役割は重要になっていくのではないでしょうか。今後も「結い 2101」では企業文化に特徴があり「人」の部分に強みをもつ会社に投資を続けていきたいと思います。
(おわり)

(資産運用部 橋本)
(※1)訪問時の様子は過去の社長コラム(1, 2, 3)でも触れています。
(※2)(参考)総務省統計局, 労働力調査,
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/index1.pdf
(※3)(参考)BlackRock, LETTER TO CEO 2019,
https://www.blackrock.com/jp/individual/ja/about-us/ceo-letter-2019
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