運用コラム「1年に4日ある特別な日」

月次運用報告書「結い だより」に掲載している記事の一部をブログ形式で掲載しています。
(「結い だより」2020年7月号>運用コラム)
6月26日金曜日、私は朝から緊張していた。
この日は東洋経済新聞社が四半期毎に発行する「会社四季報」の発売日。
私はこの日にあわせて約1ヶ月前からスケジュールを調整し、書店がオープンする午前10時に目当てのモノをゲットするシミュレーションを繰り返していた。

当日を迎え、いざ出発しようとしたその時、鎌田さんから電話があり、「11時のミーティングを10時に前倒ししてもいいですか?」との打診。
想定外の出来事に私は2秒ほど沈黙したが「四季報を買いに行くのでダメです」とは云えず、「もちろん大丈夫です」と応えた。10時からの会議では、なるべく早口で話すことでミリ秒でも短縮することに努めた。
会議の間、全国の猛者達が四季報を読み進めている姿を想像しては不安にかられ、次回発売日は有給休暇を取得することを心に誓った。努力の甲斐あり会議は30分で終了。
そこから私は猛ダッシュで書店に向かったのだが、在宅勤務での運動不足がたたり、休み休みいった結果、歩いて15分の道のりに20分を要してしまうという痛恨のミスを犯す。

気を取り直して店内に入り、一目散に経済コーナーに向かうと、そこにはマリンブルーの表紙に包まれた四季報たちが私を待っていた。
さしたる意味はないが、平積みされた四季報の下の方の一冊を選び会計へ。
レジのお姉さんに「四季報購入した人は何人いましたか?」と聞いてみたら「お客様で二人目です」との答え。
書店は全国に約1万店舗あるので、単純計算で私は2万番目の購入者になる。
完全に出遅れた。
帰り道に読む「歩き四季報」も考えたが、まだ儀式を終えていなかったので、とりえず早足で帰った。

自宅に戻った私は、シャワーを浴び、身を清めた。
四季報には水分が大敵である。
以前、台風でカバンの中の四季報が濡れたことがあったが、1週間後に信じられない大きさに膨れあがってしまった苦い経験がある。
私は入念に体の水分を拭き取り四季報と対峙。二礼二拍手一礼し「今季もよろしくお願いします」と申し上げることで一連の儀式を終えた。
四季報には人それぞれの読み方があるが、私は最初に巻末の「編集後記」に目を通す。
その時々で話題性のある事象、技術革新、価値観の移ろいなどへの言及や、制作の苦労話が盛り込まれていて、本編を読み始める前の心の準備ができる。

2020年夏号の編集後記には「4月の緊急事態宣言発令を受けて、四季報記者達は全員リモートワークに移行」「多発した業績発表遅延会社の実績をできるかぎり紙面に取り込もうとした」との制作現場の混乱を想像させる記載のほか、「各社の記事には『直撃』『急落』など業績悪化を表す言葉が目立つ一方、未曽有の事態に果敢に立ち向かう姿も描写されている」と日本企業の逞しさにエールを送るコメントもあり私の眼からは自然と汗が流れ出していた。
そして「”コロナ後”に日本企業がどうなっているのか、その手掛かりをぜひ読み取って下さい」と編集長からの挑戦とも受け止められるコメントで締め括られていた。

さて、ここからは、私流「四季報の読み方」を紹介しようと思いましたが、文字数制限がきたようですので、次回またお会いしましょう。
(資産運用部 五十嵐)