運用コラム 「私流の会社四季報の読み方Part.1」

今号は、私流の四季報の読み方です。結論から申し上げると「縦、横、斜め、に読む」です。

まずは、横読みから。会社四季報は金曜日に発売されることが多いのですが、横読み(その1)は発売日から日曜日にかけて証券コード順に横に一気に読むやり方です。上場企業は約3,700社。1社あたり30秒で読んでも30.8時間必要となるので、お風呂に入っている時間と寝ている時間以外はひたすら四季報を読んでいます(食事も読みながら、です)。日曜日までに完読する理由は2つ。①四季報を読んで気になった企業の株価リアクションを月曜日に確認するため。②企業に対する固定観念や偏見をつぶすためです。

①に関しては、有名な経済学者、J.M.ケインズの言葉「株価は美人投票」が参考となります。美人投票では、自身が最も美しいと思う女性を選ぶのではなく、他の投票者の好みに最もよく合うと思う女性に投票しなければならないので、何が平均的な意見になるのかを期待して予測することになります。株式投資においても、多くの市場参加者が、株価が上昇すると期待する銘柄を選ぶことが投資方法として有効であるという考え方です。

四季報を完読し「これは上がるんじゃないかな」と思う企業をリストアップして月曜日の株価の反応をチェックする。これにより、自身の感覚がマーケットにフィットしているかどうかを確認できます。

一方、多様な視点も重視しています。四季報発売日から約2週間後に同業他社のファンドマネージャーやアナリスト、新聞記者などと四季報勉強会を開催しています。四季報勉強会では、自分とは異なった視点での銘柄発掘アプローチに「なるほど!」と思うことしばしば…。年齢や性別、環境の違いによって見えるものが異なることを再確認できます。

②の固定観念や偏見をつぶすこととは、20年以上、資本市場に従事し経験値を積み上げるとともに増加してくる企業に対する固定観念や偏見を解消することです。企業に対する偏見などを仲間内では「あっ、それね病」と呼んでいます。過去に大きく損をした銘柄について「商品力が低い」や「経営陣がよくない」という偏見を抱いてしまうと、なかなかそこから抜け出せなくなります。若いアナリストの「A社の新商品の潜在需要は大きい」という意見に対し、「あっ、A社ね。あそこは商品力がないから駄目じゃない」と調べもせずに切り捨てる。数ヶ月後に株価を見たら何倍にもなっているという失敗を何度も繰り返しました。

私は「企業は日々成長している。今日ダメな企業が明日もダメとは限らない」ということを肝に銘じ、まっさらな気持ちで企業と向き合うようにしています。そこで大活躍するのが会社四季報です。横読みしていくと、繊維会社がIT会社になっているなど事業ドメインの変遷や、経営陣の交代、他社との提携、新製品の発売、研究開発の方向性などを確認できます。四季報を通じて企業の変化や変化の兆しを感じ取ることで、企業に対する固定観念や偏見を少しでも解消することに努めています。

横読み(その2)以降は次回ご紹介したいと思います。

(資産運用部 五十嵐)

月次運用報告書「結いだより」127号掲載