順天の精神 ~天地自然の理法に従う理念経営~

皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
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先日、「結い 2101」の「『いい会社』の経営者講演」を開催しました。コロナ禍で8ヶ月ぶりの開催でしたが、100名弱のお客様にオンライン開催の申込みをいただきました。講演者は、株式会社ツムラの加藤照和社長、テーマは「順天の精神 ~天地自然の理法に従う理念経営~」でした。

漢方薬で有名なツムラさんは、医療用漢方製剤の製薬メーカーで127年の歴史を持つ老舗です(連結売上高1,232億円、社員数3,840人)。会社概要、漢方の歴史、ツムラが目指す理念経営、ESGへの挑戦等を伺い、理念を軸にして人財を育み、漢方という分野でグローバルニッチを目指し続ける経営姿勢は、「結い 2101」が投資を始めた10年前と何ら変わっていないことを確信しました。

話を加藤社長の人となりに向けたいと思います。加藤さんは、1986年にツムラに入社しましたが、それ以降、1990年代の10年間は過酷な時代だったと私は推測しています。なぜなら、事業の多角化が上手くいかず、売上げは半減、10期中8期は赤字になるなど、ツムラさんは重大な経営危機に陥っていたのです。当時、30代の働き盛りだった加藤社長は、この時、「一人の社員として何を感じ、どう行動したのだろう」、そのことに興味があり質問しました。

「経営の批判をしても何も解決しない。この危機をどう乗り越えるかを考え、自分にできることを精一杯やってきた」が、その答えでした。

続けて受益者の一人が、こう質問しました。「当時の経験を、今、社員にどのように伝え、組織に活かしているか」と。それに対し「創業125周年の時、“不祥事に時効なし”という強い考えのもと、過去の過ちをDVDにして記録に残し、全社員に見てもらった。失敗はしてもよい。しかし、同じ失敗を二度してはならない。これが社員に伝えたかった私のメッセージです」

加藤社長の言葉に、強い覚悟を感じ、身が引き締まる思いがしました。

最近、愛読誌「致知」の中で「自反尽巳(じはんじこ)」という言葉を知りました。「指を相手に向けるのではなく自分に向けること。上手くいけばお陰様。上手くいかない時は、自分にも原因があると捉え、自分事として全力を尽くすこと」、を云い、孟子がよく説いた言葉だそうです。優れたリーダーが持つ共通の資質であり、この考えを持てない人はリーダー足り得ません。ツムラ再生の立役者 である故芳井元社長が、役員就任からわずか1年の加藤さんを社長に指名した理由は、加藤社長のそうした人間性とリーダーシップにあった、と推察します。

理念経営を目指す加藤社長にとって松下幸之助氏は範とする経営者です。ツムラの順天の精神 ~天地自然の理法に従う経営~ から、私は松下氏の以下の言葉を思い起こします。

人間の使命は、素直な心をもって
その天命を自覚していくとともに、
個々の知恵を高め衆知を集めつつ、
その本質を実現させ
これを人の営みの上にも、万物の上にも
及ぼしていくところにある。
その使命を知ったところから道は始まる。

1972年に残した言葉です。ここで「人間」を、「会社」と置き換えてもよいでしょう。加藤社長は、正にそれを実践しているように感じました。ツムラが、自然の恵みを最大限に活かし、人々の健康と医療に貢献する会社として、200年、300年繁栄することを願ってやみません。

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