思いどおりにならないから面白い

皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
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初めて屋久島の縄文杉を観た時に思ったことです。一般に杉の樹齢は300年といわれる中で、屋久島には樹齢1,000年を超える巨大杉がいくつもそびえ、そのうち、最古のものは7,000年を超えるとする説もあるようです。

この島では、あちらこちらに風光明媚な滝が流れており、花崗岩(かこうがん)でできた岩山が多く、山の栄養分は決して多くはありません。こうした地に小さな種が落ち、芽生え、少しずつ成長して根を張り、周りの自然や生き物と調和しながら、何千年もの時を超えて「ただひたすらに生きる」姿は、本当にすごいと感じました。

話は変わりますが、それからしばらくして知人が経営するトマト農家を訪れました。前職では証券システムを開発していたご夫婦が、十数年前に脱サラをし、農業を一から学び、研究と実践を重ね、今ではとても味の濃いミニトマトを完全無農薬で栽培しています。毎日、午前3時に起床し、体力をつけるためにジョギングをした後、栽培や収穫の作業に取り掛かることが日課だそうです。

しかし、その変わらない毎日の仕事と観察の中から小さな変化を見つけ出し、一方で農業に係る論文を読みながら夫婦で議論し、試行錯誤を重ね、よりよい作品(トマト)作りに取組んでいて、進歩のない日は一日たりともないそうです。

中でも「自然相手の仕事は、思いどおりにならないから面白い」と語る、何気ない一言は心に刺さりました。人が人であることの本質がこの言葉にあると感じたからでしょう。
人は、他のいきものにはない天性を持ちます。それが、好奇心、探究心、よりよくありたいと思う向上心であり、人にとっての「ただひたすらに生きる」とは、こうした天性を活かした生き方である、と教わった気がしたのです。

ドイツを代表する世界的哲学者ヘーゲルは、歴史を観察すると、物事の変化や発展、進歩や進化というものは、螺旋階段を登るように起きている、といいます。人が螺旋階段を登るとき、上からみれば、元に戻っているようにみえるが、実際は、元に戻ることはなく、一段、高い位置に登って新たな価値を創造しているとする考え方です。

今年は、コロナ禍で世界の経済・社会や人の営みは一変しました。しかし、こうした厳しい環境下でも、人は、人が持つ天性を生かして着実に発展的螺旋階段を登っている、と感じています。


(本記事はメールマガジンの再掲です)

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