一問一答! 「投資先各社の状況」「鎌倉投信の経営」

秋の運用報告会でいただいた質問にお答えします!
2020年11月24日、28日に「結い2101」運用報告会を開催しました。参加者からお寄せいただいた質問の中から、運用者として丁寧にお伝えしたいもの、受益者の皆様の関心が高いと考えるものを選び、回答します。

運用報告会の感想では「投資することに安心感ができた」「この人たちにお金を預けて良かった」「真摯な態度が伝わってきた」というお声を複数いただき、大変嬉しく思いました。
一方「ライブ感にかける」「資料が見づらい」「質問が多いということは普段からの情報開示が不足しているのでは?」といったご意見も頂戴しました。
引き続き、受益者のみなさまとのよりよい対話を目指し改善するとともに、「投資家の資産形成と社会の持続的な発展」に向けて運用を続けていきます。
引き続きご支援の程、よろしくお願いします。

他の質問に関しては以下のリンクからご覧いただけます。
一問一答! 「投資先との対話」「ポートフォリオ管理」

「投資先各社の状況」

 質問
ヤマトホールディングスさんはどうなりましたか?
 回答
2018年、法人顧客の社員向け引越サービスで不適切な過大費用請求が発覚し、当該サービスの提供が中止されていました。「結い 2101」では、追加投資を見合わせ、同社と対話を重ねながら改善状況を注視しています。
11月末に面談をおこないましたが、現在(2020年11月)も追加投資の見合わせを継続しています。全社的な対応に進捗が見受けられるものの、従業員が20万人を超える規模なので、社内体制の整備や人財教育に時間を要しているためです。

一例を挙げると、「ヤマトは我なり」という社訓が示すように現場の主体性を重視する社風の同社ですが、現場に権限移譲しすぎた結果、現場から問題点を汲み上げる機能が弱かったことを同社は問題点として認識しています。現場と本部のコミュニケーションを密にし、個々の現場では最適であった制度等を、会社全体にとって最適なものにしていく方向性で改善を図っていると聞いています。
また社内教育については、倫理研修を強化しています。経営幹部層や課長・係長らの管理職層(計約6,000名)については研修が完了していて、正社員・契約社員はこれからおこなうそうです。

 質問
糸井重里さんの後の「ほぼ日」がどうなるのかとても気になります。創業者が偉大であればあるほど後継者問題は難しいですよね?
 回答
現在、糸井重里さんは同社の創業者かつ代表取締役社長です。ほぼ日さんは、売上・利益の大部分を「ほぼ日手帳」が占めています。「『ほぼ日手帳』だけで大丈夫ですか」という当社の質問に対する鈴木取締役の回答は「エネルギーがあり余り、困難に対して無知な若い従業員が活躍している」でした。
10年前の創業メンバーが新しいことに取組もうとすると、待ち構える困難を経験から想像できてしまいますが、若い社員は困難に対して挑戦する意識が高いことから、新しいものが生まれやすい、と鈴木取締役は期待されているようです。

 質問
運用報告会の資料で、ツムラさんのコメントに「中国事業についてクリアになった」との記載がありましたが、具体的にどのようなことでしょうか?
 回答
ツムラさんは3月に中国企業の天津盛実百草中薬科技有限公司を買収しグループ化しました。同社の決算説明会で「M&Aに3年は時間がかかりすぎではないか」という質問に対して加藤社長が「M&Aには両社の理念の一致が必要である。また、ツムラは中国の方々を健康にしたい。そのための理念の一致に3年がかかった。これによって中国事業の成長イメージがクリアになった」という説明を受けて、「クリアになった」と記載したものです。

 質問
電気自動車が走り回る世界が現実になってきました。日本にはテスラ(電気自動車の開発、製造、販売をおこなう米国企業)のような電気自動車産業で活躍している会社があまりない気がします。鎌倉投信として同分野への投資先について検討しているところはありますか?
 回答
日本には電池やモータなど素材や部品供給を通じて貢献しているEV(電気自動車)関連の会社があります。「結い 2101」ではEVを含む個別テーマに着目した投資はおこなっていませんが、リチウムイオン電池用のセパレーターを製造しているニッポン高度紙工業やEV関連設備の生産ラインを製造している平田機工などが投資先にあります。

 質問
新型コロナウィルス感染拡大による投資先企業への影響について、どのような評価軸で分析をしているのでしょうか?
 回答
今回のパンデミックを受け、「コロナ前の元の状態に戻ろうとする会社」と「コロナを受け進化しようとする会社」があり、当社は後者を評価していきたいと考えています。進化しようとする会社の多くは原点に立ち返って自社の存在意義や使命を再確認し、ブレることなく環境変化に適用しようとしています。そのような会社が発展し続けるのだろうと感じました。

 質問
すららネットさんは好材料が多く期待値が先行している印象ですが、どのように評価されていますか?
 回答
すららネットは、eラーニング教材の開発・提供および主な提供先である学校・学習塾への経営コンサルティングをおこなっている会社です。たしかに期待値は高いですが、そういった教材を活用する気運がユーザーである先生たちの中で高まってきていると聞いています。

 質問
ホープさんの現況はどのように把握されていますか?株価が高値になりすぎているということはありますか?
 回答
ホープの業績が拡大している要因としては、昨年度電力小売り事業に参入し、その分野が大きく伸びていることが挙げられます。コロナウィルスの影響で電力需要が一時的に低迷し、結果的に安い電力調達ができました。これにより同社は、利益率が上昇しました。エネルギーは仕入れの部分で価格の変動が大きくなるリスクが考えられます。その点におけるリスク管理については、調査を通じて、体制を構築している段階であると把握しています。

 質問
未来工業さんの「新製品」についての説明をお願いします。
 回答
未来工業は年間約200品の新製品を生み出しているので、ほぼ毎日新製品が販売されていることになります。つまり、同社の営業の方はほぼ毎日、お客様へ「今日の新製品」を提案することができます。これが、他社が容易に真似できない未来工業の強みだと感じます。また、改善提案の数も社員一人あたり年間平均20、30件と多いことも「毎日、新製品」を支えています。この取り組みをこれからも続けてほしいと思います。

 質問
ユーグレナさんの今後の見通しを教えてください。
 回答
「結い 2101」では、ユーグレナを「共生」というテーマで評価し、投資しています。同社へは、ミドリムシを通じた栄養失調問題や環境問題解決への貢献だけでなく、ミドリムシ由来の次世代バイオ燃料を実証プラントで製造し、運輸会社などへ供給していることにも期待をしています。同社の決算説明会において、バイオ燃料の供給先が20社以上になる見通しだと報告がありました。ユーグレナは、ビジョンの実現に向かって着実に前進していると考えています。


 質問
コロナ禍でも成長している、または頑張っている企業の共通する点は何でしょうか。
 回答
コロナ禍は典型的なケースですが、これに限らず外部環境の変化をうけて成長する企業の多くは、環境変化へ適応する意識が高いことが特徴だと思います。変化適応力の高い会社の共通点は、企業風土として、従業員を大切にしていること、社内のコミュニケーションが活発であること、健全な危機意識を常に持っていることなどが挙げられます。

「鎌倉投信の経営」

 質問
鎌倉投信の財務状況はいかがでしょうか?
 回答
おかげさまで4期ほど前から安定した黒字経営ができるようになり、人財投資・調査能力の向上・お客様へのサービスの拡充にも一段とお金を割ける段階に入ってきました。財務諸表は当社ホームページにも掲載されていますので参照ください。
https://www.kamakuraim.jp/company/settlement/

 質問
ESGやSDGsが注目されることによって、他の運用会社も鎌倉投信のような考え方で投資するところが今後ますます増えていくのではないかと思っています。差別化のためにこれまでの方針と変える部分はありますか?
 回答
当社は特段ESGやSDGsに関連する指標を意識していません。あえて差別化する点をあげるとすれば、「結い 2101」は投資先企業の個性を評価しているということです。ESG投資は、アンケート調査などを通じて、すべてにおいて点数の高い会社を(定量)評価します。一方で、「結い 2101」では実地調査をもとに経営者や現場の社員の声を聞いて、各企業の個性や長所に目を向け、投資判断をおこないます。
差別化のために運用方針の根本を変えるということはありません。運用会社にはそれぞれに投資哲学や運用方針があり、それに従って運用を実行する組織です。単にESGを重視(意識)するといっても、それがその運用会社の全社的な方針や組織体制と噛み合っていなければ、「絵に描いた餅」で終わってしまいます。

 質問
鎌倉投信創業の際、現在の経営理念の原点となるモデルや参考とした概念はありましたか?
 回答
参考にした事例はありません。当時「SRI投資」「サスティナブル」という言葉はありました。しかし、その企業の社会的価値の創造力や実態を評価していくという投資哲学を持ち、証券会社や銀行等の販売会社経由ではなく、運用者が直接伝えていく直販にこだわった運用会社はなかったと記憶しています。

 質問
ファンドマネージャーが長く定着していないという課題をどう認識していますか?
 回答
ここ数年でファンドマネージャーが2人入れ替わりました。理由は様々でしたが、定着には、個人の投資哲学と鎌倉投信の投資哲学がかみ合っていることが重要だと考えています。また、処遇面を含め働く環境の改善も必要だと考えています。
「結い 2101」の運用はチーム制でおこなっています。いわゆるスタープレイヤー方式を採用していませんので、ファンドマネージャーが替わったとしてもこれまでのノウハウは蓄積されます。運用商品のクオリティが下がることはありませんので、ご安心ください。

 質問
鎌倉投信はどのようなコロナ対策を実施していますか?
 回答
密をさけるために、出社する人員のコントロールや業務中のマスクの着用、うがい手洗いの励行などの対策をおこなっています。ホームページにも掲載していますので、参照ください。
https://www.kamakuraim.jp/information/news/detail/---id-1.html

 質問
「お金は無色透明であり、人の心の色に染まる。心こそが貨幣である」という鎌田社長のお話に大変共感しました。まだまだご活躍されると思いますが、鎌田社長ご自身の事業承継について考えを教えていただけませんか?
 回答
事業承継というわけではないですが、経営方針という意味では、決まっていません。創業から約11年経ちますが、この間は、事業を立ち上げ安定軌道に乗せることに注力してきました。これからは人財育成に力を入れることができる段階にきたと認識しています。今後5年から10年をかけて、すべての業務において中核となる経営人財の育成を図っていきます。

 質問
信託報酬の1%は、今後変更の可能性はあるのでしょうか?
 回答
今のところ変更する予定はありません。一般的に個人投資家の資産形成において信託報酬等を下げることは、長期的にみるとリターンの向上につながります。当社も、できるだけ低水準の信託報酬で商品・サービスを提供することが運用商品にとって重要な要素の一つだと認識しています(アクティブ運用の投資信託では、「結い 2101」の信託報酬は相当低水準です)。
一方で、安すぎても問題が生じる可能性があります。余りに低水準の信託報酬を設定してしまうと、商品の品質低下(企業の調査体制やお客様へサービス・情報を提供する機能が弱体化)が生じてしまいます。その結果、皆様の「投資の果実」が損なわれてしまっては本末転倒です。
当社は、以上のような2つの側面を踏まえた上で、現在の信託報酬率が適切な水準だと考えています。そのことを受益者の皆様に丁寧に説明した上で、資産運用会社としての事業活動を進めていきます。
[お知らせ]
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