「結い 2101」運用報告 社会形成「希望退職に想う」

希望退職に想う

日本経済新聞によると2020年は2019年に比べ前年比2.5倍の91社の上場企業で希望退職の募集がありました(※1)。新型コロナウィルスの影響もあり、多くの企業が苦境に立たされており、幅広い業種で希望退職の募集がおこなわれました。

「結い 2101」の投資先であるレンズ専業メーカーのタムロンさんもその1社です。2020年11月に募集がおこなわれ、同社の青森県の工場に勤務する45歳以上の方、204名が希望退職されることとなりました(※2)。

当社は、希望退職の結果公表後の12月23日に取材しました。同社の鰺坂社長も同席され、すべての質問に誠実に回答いただきました。

面談の中で、鰺坂社長から希望退職募集の背景として以下の説明がありました。
・スマートフォンの台頭を受け、デジタルカメラ需要が減少トレンドにあるなか、製造原価が高い青森の工場の原価低減が急務と考え、生産ラインの自動化に取り組んできた。
・需要減少にコロナ禍が加わり、5月から青森の工場の一時休業を継続していることを受け、生産ラインの自動化にとどまらず、労務費の削減にも踏み込まなければ、工場の存続はできないと判断した。

204名の希望退職者には所定の退職金に特別加算金を上乗せして支給されたほか、希望者に対しては再就職支援サービス会社を通じて、再就職の支援がなされます。また、経営責任を果たすため、社長はじめ役員の報酬を3ヶ月間減額することを発表しました。

タムロンさんは、鰺坂社長が就任されてから若手エンジニアを積極的に起用し、挑戦を促す企業風土作りをしてきました。これにより新製品の投入ペースが加速しています。取材の中で鰺坂社長は「社員を大切にすることはタムロンの伝統。大切にする仕方は色々あると思われるが、やりがいのある、働きがいのある会社、実力本位で仕事のできる会社にしたい」と力強くおっしゃいました。同社の採用ページでも社員を大切にする経営であることが語られています(※3)。

タムロンさんの「多くのファンに支持される匠の技術力」に対する鎌倉投信の評価は変わりません。一方で、同社の希望退職の募集を、複雑な思いで受け止めています。当社では同社との対話を継続し、今回の教訓がどのように今後の経営に活かされていくのかを見守っていくつもりです。

今回のコロナ禍で雇用を守る難しさと葛藤する経営者が多くみられました。会社経営者には社員とその家族を守る義務があります。当社は、投資先との対話のなかで「社員を大切にする経営」がおこなわれているか確認し、ときには苦言を呈することもあります。一方で、経営者の悩みに寄り添い、投資先のよきパートナーとして認めていただけるよう当社も努力していきます。願わくは、事業環境に左右されず、多くの雇用が維持される社会になればと思います。
(資産運用部 長田)
月次運用報告書「結いだより」131号掲載
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