5つのトレンド(4)~異なるものの融合による価値創造~

皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
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新型コロナウィルスは、社会を一変させたとよく耳にします。確かに、社会に甚大な影響を与えていることは事実でしょう。しかし、「新型コロナは、社会を変えたのではなく、もともと起きている変化を加速させた」と観るべきではないか、と私は考えています。いつ起きてもおかしくないと警鐘を鳴らされていたパンデミックリスクが顕在化し、新型コロナとは関わりなく進んでいた技術革新や人々の潜在的志向性の変化を加速させるきっかけになったと感じるからです。

その代表的なトレンドが、過去2回のコラムで記した「技術革新」と「情報発信者におけるパワーバランスの転換」ですが、この潮流には次の二つの特徴があります。

・特定の企業や産業に留まらず幅広い産業分野に対して強い影響力を持つこと
・技術の根幹をなす思想を変える力を有すること

今回のコラム「異なるものの融合による価値創造」は、この両者の産物といえるでしょう。

一つ目の特徴についての分かりやすい例は、ロボットでしょう。ロボットは、主に工業製品の製造過程や物流等で多く用いられてきましたが、もともとの高度な技術基盤に、情報通信技術、AI技術の発展が融合したことで、応用分野は、農業、医療、介護、レスキュー、土木・建設、小売り等と多岐に渡りました。ソフトウェアの応用分野にも広がりを見せ始め、教育分野のほか、銀行融資や弁護士・会計士といった相応に知識と経験が必要とされる職種にも影響を及ぼしつつあります。

更に、その延長線にあるのが、技術から生み出される提供価値の変化です。言葉を替えると、二つ目の特徴「技術の根幹をなす思想を変える力を有すること」です。
例えば、アップルが自動車の生産に参入するという話題は、幾度となく出ては消えています。実現には、高いハードルがあるようですが、仮に実現するとなると、自動車は、移動手段そのものに価値があるのではなく、自動車の利用者から得られる多種多様なデータにこそ価値があることになり、提供する技術と生み出される価値との関係性がガラリと変わることになるでしょう。

また、トヨタ自動車は、ここ数年、立て続けに大手通信会社と業務提携等を進めています。自動運転車が街中を走り、利用する電力は街全体で最適に管理され、生活の中でロボットやドローンが当たり前のように利用され、家庭ではセンサーを使って健康状態を把握して未病・予防に役立てるといった、スマートシティ構想が視野に入っているといわれています。こうなると、トヨタは、クルマをつくる技術を持ちながらも、もはやクルマをつくる会社と定義することは困難でしょう。

一見異なる事象を二項対立的に捉えるのではなく、何かの共通項を発見し、対立・矛盾を統合して高い次元に進める見方、考え方を弁証法といい、イノベーションの基本的手法だと思います。これは、日本人が大切にする「和」の精神で謳われる中庸に近い概念だと理解しています。こうした一見異なるものを融合させて新たな価値を創造する弁証法的視点は、技術革新によって様々な産業分野で芽生えつつあるように感じます。

(つづく)


(本記事はメールマガジンの再掲です)
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