ESG投資と「結い 2101」(その1)

先日、日経ヴェリタスの特集「投資の新潮流を探る」でESG投資を巡る新たな動きといったテーマで取材を受けました。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字です。2006年、国連アナン事務総長(当時)が運用会社や年金基金、金融機関等の機関投資家に対してESGを考慮した「責任投資原則」を表明するよう提唱したことをきっかけに世界に広がり始めました。現在、ESG関連の運用資産残高は、世界全体で20兆ドル(約2,200兆円)ともいわれ、近年、日本でもESGをテーマにした金融商品がふえています。

鎌倉投信が運用する「結い 2101」は、2010年3月に設定して以来、独自の視点で事業性と社会性を両立できる「いい会社」に投資し続けてきました。早くから社会的要素を重視してきたこともあり、「『結い 2101』は、ESG投資ですか?」と、質問されることがしばしばあります。外部からみてどのように映るかの判断はお任せしていますが、当社自身は、ESG投資を標榜していません。敢えていえば、サスティナブル投資でしょう。実際に、ESG投資指数等で選定されている会社のリストと、「結い 2101」の投資先と重なる会社が少ないことから、投資姿勢や評価の視点が異なることは明らかでしょう。では、何が違うのでしょうか。

ESG指数に組入れられる会社は、
(1)時価総額基準によって時価総額の上位企業が対象である
(2)網羅的な評価項目について形式的に評価され、総得点の上位が組入れられる
という特徴があります。

それに対し、「結い 2101」では、
(1)全ての上場企業が対象である
(2)どの社会課題分野において価値を創造しているかという、他社にはない特徴、すなわち個性を評価する
です。
(ESG要素を内包しつつも)一般的なESG投資とはアプローチが異なるといえるでしょう。

分かりやすくいえば、ペーパーテストで全科目押しなべて高得点をとる偏差値の高い会社よりもむしろ、どちらかといえば特定の科目や実技において他社より秀でた会社を集めることで、(1社単体ではなく) 「結い 2101」全体として多様な社会価値創造をめざすといったイメージです。ESGは、確かに大切な視点で、その重要性は今後も高まるでしょう。しかし、ESGは、企業が掲げる経営理念を、事業を通じて実現し、会社を持続的に発展させるための経営要素の代表的区分(分類)でしかありません。各社が取組む事業内容や濃淡の付け方は、当然にそれぞれ異なります。

さらに鎌倉投信では、会社の社会的評価は投資家目線で一律に測られるものではなく、むしろその違いの中にこそ各社の思想信条が現れ、相異が会社の個性となり差別化の源泉につながる、と考えています。鎌倉投信は、それをESGではなく、「人」「共生」「匠」という視点で観ています。この3つの視点については、次回以降、深堀りしてみたいと思います。
(つづく)
鎌倉投信株式会社 
代表取締役社長 鎌田恭幸

(本記事はメールマガジンの再掲です)
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月次運用報告書結いだより134号掲載