【報告】2021年春期「結い 2101」運用報告会(その2) 「いい会社」の紹介・活動報告(社会形成)について

2021年4月21日、24日に開催しました「結い2101」運用報告会の概要をお伝えします。当日の収録動画および説明資料は、オンラインサービス「My鎌倉倶楽部」に限定公開しています。より詳細を確認したい方は、動画を視聴ください。
本レポートでは、次の2つに分けて掲載します。
(その1)社長挨拶・投資哲学・「いい会社」の評価基準・「結い 2101」運用状況(資産形成)
(その2)「いい会社」の紹介・活動報告(社会形成)

※社長挨拶・投資哲学・「いい会社」の評価基準・「結い 2101」運用状況(資産形成)については、「運用報告会レポート その1」をご覧ください。

(その2)「いい会社」の紹介・活動報告(社会形成)

目次
  • 10年投資継続中の企業
  • 調査活動で印象に残った一言
  • 懸念事項のある(あった)投資先
  • 投資先の事業活動


■ 10年投資継続中の企業

「結い 2101」は2010年3月29日に新規設定してから、今年で11年が経ちました。現在は株式で62社、社債で6社を保有しています。鎌倉投信は、投資先企業の株価が上昇したからといって途中で売り抜けたりすることはせず、投資先企業が「いい会社」であり続ける限り保有を継続します。保有し続けるのは、企業が取り組む社会課題解決には時間を要するためです。社会課題解決のゴールを投資先企業と共有し、同じ時間軸で物事を考えていくことが大切であると考えています。また、長期保有は信頼関係を築く一つの手段であると捉えており、保有を通じて投資先と共に鎌倉投信自身も成長できると考えています。
今回は「結い 2101」で、2021年3月末時点で10年以上継続保有している21社の中から「人」「共生」「匠」のそれぞれのテーマから1社ずつピックアップして紹介します。
未来工業 投資テーマ:人
未来工業の理念は「常に考える」であり、「自らの意思で考え、行動した先に新たな未来が待っている」というものです。こうした理念から、他社にない新しいアイディアによる商品を提供することで、成長を追求している会社です。また、「毎日新製品」をキャッチコピーに、理念を体現させるために改善提案制度が設けられており、「5000件/年・意匠保有件数 約1700件」を達成しています。
業績も安定しており、投資を開始したタイミングから見ると株価も高い水準にあります。

特徴的な企業風土
・全員正社員。平均勤続年数20年超。「人材をコスト扱いしない」
・残業原則ゼロ。「睡眠8時間、仕事は8時間以内。残り8時間は好きなことに」
・「おしゃれじゃない」との声を受け制服を廃止。制服代として年1万円支給。
・年間休日約140日。「ワーク・ライフ・バランスではなく、ライフ・ワーク・バランス」

未来工業では、企業理念がまずしっかりと根本にあり、それが派生してある意味で欧米的な企業風土が構築されています。資産運用部では、このように企業理念が企業風土によい影響を与える取り組みが今の日本社会でどんどんと取り入れられるとよいと考えています。


アミタホールディングス 投資テーマ:共生
アミタホールディングスは、「この世に無駄なものなどない」をモットーに、100%リサイクルを目指している会社です。鎌倉投信が投資を始めてからの11年で起きた事象や、同社の特色などを以下で紹介します。

・事業の選択と集中 産業廃棄物100%リサイクルの北九州循環資源製造所とは?
循環資源製造所は、シリコンウェーハの加工時に発生する廃油を分離してリサイクルする施設です。台湾の工場でも事業を担っていましたが、現地のシリコンウェーハ加工企業の海外移転にともない、台湾ではリサイクル事業から撤退して北九州へその経営資源を集中しました。この選択と集中によって業績は回復しつつあります。

・地域デザイン “ごみ出し”という日常行為を切り口とした住民主体の持続可能なまちづくり
アミタホールディングスは、ごみ出しを通じて地域のコミュニティを活性化させていく取り組みをおこなっています。ごみ出しによる資源の分別・再利用だけではなく、「ごみ出しという人の集まる場」を支援することによってそこから派生するコミュニケーションからアイディアを創出し、地域デザインづくりに貢献しています。

・「持続可能な企業経営、地域運営の支援」などが活発化して時代が追い付いてきた、環境認証審査サービスで製品の環境価値向上とCSR調達の推進
アミタホールディングスは、他社製品も含めた生産物に対して持続可能な資源から作られたことを証明する森林・水産の環境認証ラベルを展開しており、持続可能性を唱える今のESGの考えを先駆けて取り組んできた企業であるといえます。

熊野会長曰く、「アミタの強みは不確実なことを確実にすること」とのことで、同社ではそれらの思想を若い世代に伝えていく人財育成に取り組んでいて、次世代が楽しみです。
 

第一稀元素化学工業 投資テーマ:匠
第一稀元素化学工業は、原子番号40番の元素「ジルコニウム」を半世紀以上扱い続けている会社です。レアアースの1種でもあるジルコニウムを扱う同社について、トップメーカーとしての意識が垣間見えるエピソードなどを紹介します。
2010年のレアアース・ショック(中国の対日禁輸措置)によって、2012年3月期に営業損失を計上した同社でしたが、経営陣・管理職らが優先しての報酬減額をはじめ、様々な対応をすることで全社一丸となって業績回復を達成しました。やや大きい株価変動がみられますが、投資開始時点からでは高い水準となっています。

・レアアース・ショックと原材料調達先の分散→2023年7月からベトナム子会社の新工場での生産開始予定
レアアース・ショック発生時、原料中間体の調達先は中国からのみでしたが、その後、ベトナムへの新工場建設を決定しました。ベトナムからの輸入は中国からの仕入れよりも割高となりますが、トップメーカーとしての供給責任を果たすために原材料調達先の分散に踏み切ったとのことです。

・ジルコニウム(Zr)の可能性追求と用途展開→主力の自動車排ガス浄化触媒添加剤で世界シェア約40%
触媒以外の用途については、リチウムイオンバッテリーの正極材の保護材料、燃料電池の電解質の材料となるファインセラミクスと、多岐にわたっています。投資開始時よりもこれらの用途向け売上が順調に拡大しています。

同社HPのジルコチャンネルのコンテンツでは、ジルコニウムの用途を分かりやすく説明しています。ジルコニウムを身近に感じてみてください。



10年投資継続中の企業紹介は、初めての試みですが、皆様からの意見を頂戴しながら、今後も、よりよいものとしていきます。


■ 調査活動で印象に残った一言

ここからは、資産運用部長の五十嵐から、日々の調査活動の中で印象に残った一言を紹介します。

小林製薬 株式会社
資産運用部ではこの一言から、コロナ禍への危機感や企業の存在価値を小林社長が強く意識されていたと感じ、日常生活における同社製品の必要性を再認識する機会となりました。

萩原工業 株式会社
この一言は、時代によって変化していく社内コミュニケーションの形を大切にしている浅野社長らしい姿勢を示しているものでした。

アイ・ケイ・ケイ 株式会社
昨年の緊急事態宣言下の結婚式を開催できない時期に、金子会長の役員報酬100%カットをはじめとして、様々なコスト削減に取り組まれていたアイ・ケイ・ケイですが、この一言には同社が使命としている「感動を生むこと」への想いがしっかりと反映されていることがわかります。実際におこなったコスト削減がこの一言と整合的であり、社員のモチベーションを向上させ、投資する側としても安心できると捉えています。


■ 懸念事項のある(あった)投資先

① 株式会社 タムロン (世界に通用するレンズを作る、ズームレンズの技術力に強みを持つ会社です)
「結い 2101」では「匠」テーマでの評価の会社ですが、昨今のカメラ業界の低迷によってコスト削減が迫られており、その対応方法に「人」の観点で以下の懸念事項がありました。
タムロンの伝統は「社員を大切にすること」です。大切にする仕方は色々あるとのことで、やりがいのある、働きがいのある会社にして、若い人の技術力向上を通じて企業成長を目指すとのことです。しかし、資産運用部では人員の整理は最終手段であると考えています。同社の「多くのファンに支持される匠の技術力」に対する鎌倉投信の評価は変わらないため、投資を継続していきますが、この教訓を今後の経営に活かしていけるかを注視していきます。

詳細は、結いだより【「結い 2101」運用報告 社会形成「希望退職に想う」】をご覧ください。


② ヤマトホールディングス 株式会社 (運輸業の国内高シェアを誇るヤマトグループの持ち株会社です)
2018年から追加の買い付けを見合わせており、今後も懸念事項についての調査を続けていく予定です。
調査のペースが遅いと感じられる方もいるかもしれませんが、資産運用部としては、早さよりも、しっかりと納得した上で判断することが重要であると考えています。


③ 株式会社 ホープ (元々は、地方自治体向けのサービスを主として展開し、地方自治体から購入した広告枠を一般企業へ販売することで地方自治体の活性化を目指していた会社です。ここ数年でエネルギー事業が成長し売上高の大半を占めるようになりました)
鎌倉投信では、地方自治体の財源になるという視点の下、「共生」のテーマで評価しています。ホープのエネルギー事業は、地方自治体向けに電力供給を契約した後、調達・供給を契約通り実施するというものであり、その形式から契約後の電力原価の変動によって影響を受ける事業特性を持っていました。2020年度に以下のような事態が発生したため、懸念事項のある投資先としました。ポートフォリオ管理上は、3月に保有比率を他の投資先の半分としたうえで、追加買い付けを見合わせています(「結い2101」純資産における同社株の保有比率は4月19日時点で約0.4%)。
詳細は、結いだより【運用コラム 「ホープ」社への投資判断】をご覧ください。


■ 投資先の事業活動

投資先の企業の取り組みについて、テーマ別に、誰に対しての事業活動であるかをあわせて紹介します。
この記事では、上図の一部を紹介します。


気候変動の抑制:ユーグレナ
株式会社 ユーグレナ 
バスや船にバイオ燃料を供給してきたユーグレナですが、3月にバイオジェット燃料が完成し、ミドリムシがジェット機を飛ばす未来が近づいてきました。バイオ燃料は、燃料使用時に二酸化炭素を排出しますが、ミドリムシが成長しているときには二酸化炭素を吸収しているため、燃焼使用時の二酸化炭素の排出量はプラスマイナスゼロになると考えられています。本格的な供給は商業用プラントが完成する2025年を予定しており、今後が楽しみな会社です。


番外編:投資先企業間のコラボ
株式会社 LITALICO 
LITALICOがフェリシモとウチヤマホールディングスとのコラボ事業を始めたので、紹介します。
① フェリシモ 発達障碍のある子ども向け商品の開発
② ウチヤマホールディングス 放課後等デイサービス事業に「LITALICO発達ナビ」導入
投資先企業間での事業協力は、鎌倉投信としては大変うれしく感じています。



(最後に)
鎌倉投信は、今後も、「いい会社」を観る視点や投資先企業との対話、ポートフォリオ管理の技術、お客様へのサービスや対話の質を更に高められるよう、努力していきます。
これからもご支援とご協力を、よろしくお願いします。

[お知らせ]
・当日の収録動画および説明資料は、オンラインサービス「My鎌倉倶楽部」に限定公開しています。より詳細を確認したい方は、動画を視聴ください。
・運用報告会レポート(その1)社長挨拶・投資哲学・「いい会社」の評価基準・「結い 2101」運用状況(資産形成)では、投資哲学の紹介や「結い2101」に関する数値の結果の報告をしています。