ESG投資と「結い 2101」(その7)~ESG視点「G」と「人」組織風土~

(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)
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前回に続き、ESG投資の「G」、「Governance:ガバナンス」と「結い 2101」の評価視点「人・共生・匠」のうち「人」との関係性ついて考えます。

先週のメルマガでは、「G」を機能させる上で欠かすことのできない要素「経営革新能力」の事業的側面について述べました。

今週は、経営革新能力を引出す組織的側面、組織風土について考えます。これは、「結い 2101」の評価視点「人」の中の着眼点「企業文化」で量られる要素です。

会社が担う社会的責任は、突き詰めれば「会社に集う一人ひとりの能力を発揮し、効果的に統合させて価値を生み出し続けること」にあります。そして、会社(組織)は、「人」と「人と人との関係性のあり方」によって形成されますので、それらの相乗効果を高め価値を生み出し続けるためには、社員が気兼ねなく意見を出し合い、自由闊達で創造的な議論ができる組織風土づくりが欠かせません。

一人ひとりの異なる意見や考えを、智慧と工夫によって高い次元に統合させる能力こそが「組織の革新能力」であり、その能力を高めることは会社の持続力・企業価値の向上へとつながり、「G」において重要な要素になる、と感じるのです。

こうした「自由闊達で創造的な議論ができる組織風土づくり」は、経営目標の上位に位置する重要なテーマですが、難易度が高く、多くの経営者が悩み苦しむ課題でもあります。

その課題を克服して成長する会社の一つが、「結い 2101」投資先の「いい会社」、サイボウズ(※)でしょう。かつて離職者が相次ぎ、苦しみ抜いた中から導かれた答えが「100人いたら100通りの働き方があってよい」という経営方針の大きな転換でした。
※サイボウズ:当社HP 投資先の「いい会社」 をご覧ください。


その後、同社が実践した様々なワークスタイル変革は、まさに「自由闊達で創造的な議論ができる組織風土づくり」に通ずる独自の企業文化づくりへの挑戦だったと、私には映ります。その企業文化とは以下の3つです。
・「公明正大」の文化:多様な人材が同じチームで働くための行動規範を定義
・「自立と議論」の文化:多様性を重視すれば、答えは一つとは限らないため、社員同士が建設的に議論して問題を解決するための手段を繰り返し社内研修で学ぶ
・「ルールより目的」の文化:制度をつくるとき、その目的を共有・共感する


例えば、新たな制度をつくる場合には、経営陣が決めて社内に周知するのではなく、
(1)社員からの意見・提案を受け 
(2)ワークショップを繰り返し、草案を策定し 
(3)本部長会において社長が意思決定し 
(4)制度の目的を全社員が共感できるようにしっかりと共有する 
といったプロセスがとられます。

同社にとっては、こうしたプロセスの実践によって3つの文化を根付かせることこそが、何より重要なガバナンスである、といえるでしょう。

もとよりこうした取組みに正解はなく、答えは100社あれば100とおりでしょう。大切なことは、自由闊達な議論ができる組織風土をつくることは、社員の主体性と対人対応力を高め、相互の信頼関係を醸成することと同義であり、それが会社存続の必須要件である経営革新の核心であることを経営者が自覚することでしょう。そのための「組織文化」の醸成は「G」の根幹である、と思うのです。

次回は、ESGの「S」、「Social:社会性」と「結い 2101」の評価視点との関係性について考えます。(つづく)
鎌倉投信株式会社 
代表取締役社長 鎌田恭幸


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