運用コラム 等金額投資 ~「結い 2101」の現状~

以前、受益者の方から次のような質問を頂戴しました。

“投資先の投資配分は時価総額加重に変更してもいいのではないでしょうか?ここで言う時価総額加重とはある基準の金額を決めておき、あとは株価に任せるという方法です。”

過去の記事(※1)で簡単に回答しましたが、もう一歩踏み込んで「等金額投資」の現状と運用者の考えをお伝えします。今回はまず現状整理をします。

「結い 2101」投資ウェイトの基本方針

「結い 2101」の基本スタンスは「いい会社は等しくいい会社なので投資ウェイトに差をつけない」というものです。これは以前からお伝えしているとおりで、今後もこの原則を変える予定はありません。2021年4月末では、株式で投資している会社への投資金額は一社あたり概ね5億円強(純資産総額比のウェイトが約1.1%)です(下図)。
なお、投資金額の上位10社は毎月の結いだより等で公表しています(すべて公表していない理由は、上図のように細かくなりすぎますし、上位10社の状況が分かれば特定の投資先に資金が偏っておらず、概ね等金額投資であることを確認できると考えているためです)。

等金額投資の例外

株式は刻一刻と価格が変動するため、投資ウェイトが等しくなるよう「結い 2101」では日々微調整をしています。つまり「株価が上がったらその分売る、下がったら買う」という投資行動をとっています。しかし、そのような調整をしているにも拘わらず、等金額投資の原則から外れる投資先もあります。以下に5つのパターンを列挙します。

(1)株価が急変動した会社
最もわかりやすいケースが、株価が急激に変動した場合です。「結い 2101」では、株式市場に大きなインパクトを与えないように売買を進めているため、急変動の際には調整に数営業日かけるのが一般的です。
例えば、2021年4月には投資先「タムロン」の株価が好業績の発表を受け、月末営業日に前日比5.6%上昇したため、4月末には結いでの保有比率が1.2%超と投資先の中で最上位となりました。

(2)「いい会社」の評価に懸念が生じている会社
「結い 2101」では「人」「共生」「匠」の3つのテーマで会社を評価していますが、不祥事等が発生しこれらのテーマにそぐわない、特に投資当初の評価ポイントと投資先の現状にずれが生じている懸念がある場合、株式の追加買付を停止します。その後、調査を進め、懸念が払拭できれば等金額投資の枠組みに戻します。足元では「ヤマトホールディングス」の一部サービスで問題が発生したため、追加の買い付けを見合わせています(※2)。

また、「人」「共生」「匠」視点での評価には変わりはないものの、それらの個性価値を発揮するための前提条件となる「持続的価値」に懸念が生じた場合は保有ウェイトを下げた上で、追加の買い付けを見合わせます。「ホープ」がそのケースに該当します。


(3)私募債で投資している会社
非上場会社へは私募の社債に投資しています。私募債は、広く一般に売買される公募債とは異なり、特定少数の投資家が相対で購入する社債のことをいいます。従って流通市場が形成されていないことが一般的で、頻繫に売買することが難しく投資ウェイトを調整することができません。
なお、「結い 2101」非上場の投資先における最も金額の大きいのは「日本環境設計」で、約3億円(純資産総額比 約0.6%)を保有しています。


(4)時価総額が小さい会社
株式に投資をしている会社については、発行済み株式数の5%以上を保有しない方針をとっています。そのため、株式の時価総額が小さく、等金額投資をしようとすると発行済み株式数の5%を超えて保有することになるような会社の投資ウェイトは、結果として他の投資先より投資比率が小さくなっています。

5%以上保有しない理由は、投資先への過度な影響力を持たないようにするためです。「結い 2101」では、企業理念や経営姿勢・事業活動等を理解し共感したから投資をしたわけであって、例えば「配当を上げてほしい」といったような要求を通すために保有をしているわけではありません。また、5%以上保有すると「大量保有報告書」を提出する義務が生じ(いわゆる5%ルール)、当社の業務運営の負荷が増すため、5%超の保有を避けているという事情もあります。


(5)日々の株式の売買代金が少ない会社
最後の点は公募投資信託の規制による制限です。いわゆる「流動性規制」と呼ばれるもので、例えば投資信託に解約が集中したときに保有していた株式の暴落が起こらないように予防し、投資家保護を図る目的で導入されるものです。この規制は日本では2022年初に適用予定ですが、流動性が低い銘柄、すなわち売買できる量が限られていたり、売買できても市場価格へのインパクトが大きかったりするような有価証券の保有に一定の制限が課されます(※3)。

「結い 2101」でもこの規制への対応を進めており、具体的には売買代金が少ない銘柄への投資ウェイトに制限をかけています。対象となる投資先は市場環境により変化しますが、足元では「ほぼ日」など複数の会社がこの制限により他の投資先より投資ウェイトが低くなっています。


今回の記事では「結い 2101」における等金額投資の原則と例外について解説しました。次回以降、冒頭のお客様の疑問に答えるべく、運用者の考えを紹介したいと思います。

(資産運用部 橋本)
(※1)本質問への簡潔な回答は過去の記事にも掲載しています。
(お手数ですが「投資配分」等のキーワードで検索願います)
https://www.kamakuraim.jp/information/yuibiyori/detail/---id-1247.html


(※2)詳細は運用報告会レポートをご覧ください。
https://www.kamakuraim.jp/information/yuibiyori/detail/---id-1338.html

(※3)規制の詳細についてはリサーチ会社レポート等を参照ください。
日本証券経済研究所:https://www.jsri.or.jp/publish/review/pdf/6012/05.pdf
大和総研:https://www.dir.co.jp/report/research/law-research/regulation/20200513_021528.pdf

(関連記事)
#運用コラム

月次運用報告書「結いだより」135号掲載