ESG投資と「結い 2101」(その8)~ESG視点「S」~

(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)
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今回は、ESGの次の2つ目のテーマ「S」、「Social:社会性」と「結い 2101」の評価視点との関係性について考えます。
以前のメルマガで、会社が果たすべき社会的責任は、究極的に次の二つであることを述べました。
第一に、価値あるモノやサービスを供給することによって社会に貢献すること
第二に、会社の活動を通じて、人と人、人と社会を結び付けることによって個人の成長と、社会への貢献につなげる機会を提供すること
です。

ESGの「S」とは、第二でいう会社が社員に対する責任を果たすことで、会社に集う人の成長実感や幸福感、第一でいう会社が供給責任を果たす過程における顧客や取引先、地域社会、さらには環境を含めた社会全体への貢献の度合いを測る項目、といえるでしょう。

例えば、ESGスコア「S」の中では、機会均等や差別に関する方針、人種・宗教・障碍・国籍・年齢・性別・LGBTなどの多様性、顧客や取引先に対する責任などが様々な指標を用いて測られます。鎌倉投信が設定・運用する「結い 2101」の投資の着眼点 でいえば、「人」さらには「共生」で測る分野でしょう。

「S」については、客観的な数値で測ることが難しいといわれていますが、最近では、この中の人的資本に焦点を当てて国際基準をつくり、それを可視化する動きが広まりつつあります。具体的には、国際標準化機構(ISO:International Standard Organization)が、模範的な取組み事例を参考にしながら人的資本に関するガイドラインISO30414を策定し、今年1月にドイツ銀行グループの資産運用会社がいち早く認証を得たことが挙げられます。

また、昨年、米国証券取引委員会(SEC)が上場会社に対して「人的資本の情報開示」を義務づけると発表したことから、米国企業の人的資本に関する情報開示が加速しています。

例えば、日本でも広く知られるスターバックス、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フェイスブック等では、労働問題、給与、福利厚生、健康、ダイバーシティ、社員教育研修、社内サーベイや後継者育成方針などの開示を短期間で進めています。こうした動きは今後も加速し、日本を含めた世界的な潮流になるでしょう。

その背景は、モノ・サービスがあふれ、価値観が多様化し、変化の速い時代においては、有形資産以上に人的資産、つまり個人の個性・能力を引出して統合させる組織能力、様々なステークホルダーとの関係形成力が会社の価値創造力や持続力に大きな影響を与える、との見方が強まっているからであると考えられています。

私もその点においては、同感です。しかし、本コラムのESGシリーズで繰り返し伝えているとおり、こうした取組みにおいて大切なことは、会社が形式的、網羅的に高いスコアを目標とすることや、それを元に投資家が投資先を評価したりすることではありません。

会社の存在目的である理念に照らして、なぜ「S」の中のAという項目に取組むのかという経営思想、その取組みの本気度合い、実践内容の質の高さ、等を見極めることが大切だと感じています。当社が運用・販売する「結い 2101」では、そうした点について、投資の着眼点「人」、さらには「共生」のテーマの中で観ています。

次回、ESG視点「S」と「人」との関係性を考えます。
(つづく)
鎌倉投信株式会社 
代表取締役社長 鎌田恭幸


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