投資信託 きほんの「き」シリーズ 投資信託の運営に関わる3つの会社と「分別管理」

投資初心者の方にとって「質問する」こと自体、ハードルが高いもの。
「ちょっと聞くには気が引ける」といった内容を案内していきます。
一緒に学んでいきましょう! 


前回までの投資信託にまつわるコストを説明する中で、投資信託の運営には「販売会社」「運用会社」「受託会社」3つの会社が登場しました。今回は、それぞれの「会社の役割」とキーワード「分別管理」について紹介していきます。
  • (図1)投資信託の仕組み 出典:一般社団法人 投資信託協会

「結い2101」は販売会社を介さずに運用会社である鎌倉投信が直接販売をおこなっているので、図1で示すところの「販売会社」がいません。

イメージしやすいよう「電気自動車(EV)」をテーマにした架空の投資信託を例にとって販売会社・運用会社・受託会社の役割を紹介していきます。
この架空の投資信託の概要を以下のように設定します。

〈「くるまの未来」ファンド概要〉

名称 「くるまの未来」
運用方針 日本の取引所に上場する電気自動車(EV)に関連する企業の株式に投資をし、信託財産の成長を目指す。
投資対象 電気自動車に関連する企業
(車体を作る会社、バッテリーやモーターを製造する会社、自然エネルギーによる電力供給をする会社など)
※「くるまの未来」は筆者の上司が命名しました。

〈運用会社の役割〉
運用会社では企業調査等をおこない、「くるまの未来」の組入銘柄を決定し、運用を始めます。そして、「自動車メーカーA社を〇円で××万株購入、車体製作会社B社を△円で××万株売却」といった取引を信託銀行に指図します。また、銘柄の入れ替えなどもおこないます。これらをおこなう会社が「運用会社」です。

そもそも電気自動車に関連する会社の把握やその会社の業績、適正な株価水準などを判断して投資することは、一般的な個人投資家には難しいでしょう。銘柄にもよりますが、一つの銘柄ごと購入費用として数百万から数千万かかりますし、銘柄数にもよりますが、関連企業全部に投資しようとすると恐らく数千万円から数十億の資金がいるでしょう。
投資家個人でこういった面倒な調査をせず、かつ自分に関心がある対象に少額から投資できることも投資信託のメリットですね。


〈販売会社の役割〉
こうして運用会社が設定・運用する投資信託を投資家の皆さんに届けるのが、「販売会社」です。販売会社は、投資信託の売買を受付する窓口の会社で、銀行や証券会社のこと。

販売会社は、投資家のニーズやリスク許容度をヒアリングし、意向にあった商品を提案します。投資信託「くるまの未来」の特徴やリスクなどを説明し、購入者を募集します。そして購入者には事前に目論見書を交付し、申込金(購入代金)を受け取ります。

図1を見ていただくと分かるように購入代金の投資信託(ファンド)への入金は、販売会社を通じておこなわれます。また、投資信託の解約代金や分配金の投資家への支払いも販売会社を介しておこなわれます。いわば、投資信託(ファンド)と投資家をつなぐ橋渡し役です。


〈信託銀行の役割〉
最後に、運用会社からの指図に従って市場で株式等の売買や信託財産(投資信託が保有している資産のこと)の管理をおこなうのが「信託銀行(受託会社)」です。「車のミライ」の信託財産である「自動車メーカーA社」、「車体製作会社B社」の株式の名義は信託銀行になります。

ここまでで、投資信託は3つの会社(運用会社、販売会社、信託銀行)が役割分担をしながら運営されていることが理解いただけたでしょうか。



では、この運営に関わる会社が万が一、経営破綻したら投資信託はどうなるのでしょう?
「投資したお金は戻ってこない?」「投資信託の価値が0になる?」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。

まず、販売会社・運用会社では信託財産を保有していないので、仮にこの2社が破綻しても信託財産に影響はありません。
販売会社が破綻した場合、投資信託は他の販売会社に取扱いが変わるか、それに応じない場合は時価で換金します。
運用会社が破綻した場合、運用を引き継ぐ運用会社があれば継続して運用され、引き継ぐ運用会社がいなければ時価で換金のうえ、投資家に返還します。

信託財産の管理会社である信託銀行が破綻した場合はどうでしょう。
信託銀行自身の資金は、投資家の財産と分けて管理するよう法律で義務付けられています。これを「分別管理」といいます。さらには、信託財産は信託銀行の債権者による差し押さえの対象外です。
信託銀行が破綻した場合、他の信託銀行に業務を引き継ぐか、信託財産を時価で換金し、投資家に返還します。

つまり、分別保管がきちんとおこなわれていれば「投資したお金が戻ってこない」「投資信託の価値が0になる」ということは起こりません。

次回もお楽しみに!

※このコラムは特定の業種・銘柄への投資を推奨するものではありません。

月次運用報告書結いだより137号掲載

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