会社四季報で振り返る「いい会社」のあゆみ ~アミタホールディングス~ その1

以前に執筆した会社四季報に関するコラムをきっかけに、社内から「四季報を通じて投資先の『いい会社』を分析してみたら面白そう」との声がありました。しかし、約20年分の四季報を遡って分析するのは一苦労。軽い押し問答の末、最後はおだてられてトライすることになりました。

今回取り上げる投資先企業は、アミタホールディングスさん。9月に開催予定の受益者総会で同社の熊野会長に登壇頂くので、いい機会かな…と。
さて、「結い 2101」がアミタさんに投資を開始したのが2010年3月。ということで、2010年新春号から2021年夏号までの12年間、47冊の四季報を東京オリンピックの開会式を見ながら遡りました。
  • 資産運用部長 五十嵐                    過去20年分(80冊超)の四季報


先に答を確認。最新号である2021年夏号の掲載内容が約12年のアミタさんの企業活動の結果であり答となる。そして、この答がどのように導かれたのか、どこに転機があったのかが謎解きのポイントとなります。

===最新号の基本情報をPick Up===
証券コード:2195 アミタホールディングス
本社:京都市
上場市場:ジャスダック
会社の特色:廃棄物再資源化大手。排出企業から受け取る管理料が収益源。コンサル、水産資源認証事業等も。
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「も」のあとが気になりますが、ここではスルー。連結事業(区分)は社会デザインのみの単一事業。業績推移に目をやると、過去3年間の売上高は40億円台後半で安定しているが、営業利益は二桁%で成長しています。
記事の見出しは【上振れ】【提携】とポジティブワードが並びます。
業績予想記事では、「資源リサイクルはシリコン再生を筆頭に出足好調。地域モデル事業や廃棄物管理支援も伸びる。マレーシア持分益増」といい感じ!材料記事では、「太平洋金属と資本業務提携」とあります。

│12年前に時を戻そう

答えを確認したので、12年前の2010年新春号に時を戻しましょう。
12年前、証券コード2195は・・・、ない?!まぼろし?念のため、社名検索の「ア」の段を確認すると、アミタさんありました。証券コードは2490。2010年1月に株式移転によってアミタホールディングスとなった際に現在の2195になったようです。四季報の記事見出しでも【新体制】と持株会社設立にふれています。本社は京都市ではなく、東京都千代田区。本社に関しては、東日本大震災の翌年の2012年春号に「東京を本店とし本社は京都に移転、災害等リスク分散を図る」と本社移転に関する記載がありました。

上場市場はヘラクレス、懐かしい!ヘラクレスは大阪証券取引所が開設していた新興企業向けの市場で、2010年10月にジャスダックと市場統合したのです。阪神タイガースファンの筆者は、大阪証券取引所に愛着がありました。また、取引時間も東京証券取引所が15時で終了するのに対して、大阪証券取引所は15時10分まで取引可能でしたので、少し得した気持ちでした。

│事業区分の変化から転機を探る

会社の特色は現在とほぼ同じ。連結事業(区分)と売上構成比は、地上資源製造64%、地上資源販売18%、環境サービス18%と3つに分かれていました。
ここにアミタさんの転機のヒントがありそうです。事業区分は事業領域のことで、会社の経営理念や経営戦略と密接な関係があります。自社のビジネスがどの事業領域を対象とし、将来の事業展開の方向を考慮して、経営資源をどのように配分していくのか経営者は日々意思決定を求められます。

事業領域には、一般的に市場(顧客)軸、技術軸、機能軸に大別できますが、2010年当時のアミタさんの事業領域は機能軸で分かれていたようです。それが、現在では社会デザインの単一事業。「事業の選択と集中」という言葉がありますが、「アミタさん集中しすぎ!」とも見えます。ただ、「社会デザインって何?」という疑問も浮かぶ。社会デザインには機能軸で分かれていた事業区分が包含されているようにも見えます。

│社会デザインって何?

ここで、ネタバレ。実は2020年にアミタさんに取材した際、この点を質問しました。それに対する回答は「アミタは持続可能社会構築を目指す市場で、その企画から制作までを請け負うプロダクション企業、つまり未来デザイン企業となる」そして「『循環』というテクノロジーを用いて、100%資源化、サステナビリティ認証、サプライチェーンの環境リスク低減支援、循環型地域社会モデルの構築という4本柱を統合して、社会デザイン事業を展開する」というものでした。

これまでは、製造部門であれば、生産性の向上、販売部門であれば、高く、沢山売ることが部門の目的であり、目標であったことでしょう。場合によっては、部門間で利害が対立し、経営理念から離れた意思決定がなされたことも想像に難くありません。それが「未来デザイン企業がおこなう社会デザイン事業」で統一されることで、意思決定に迷いが生じたら「社会をデザインできているか?」と自問自答すれば、最適解が導き出されるという仕組みです。ただ、頭では解っていても従業員全員が同じ意識で行動することは難しいです。当時、熊野会長が「従来の仕事の進め方に慣れ親しんだ従業員のマインドセットが一番の課題」と話されていたことが思い出されます。
  • (画像:同社HPより)


役員構成では、2010年当時社長の熊野さんを除き、現在は新しい顔ぶれとなっています。役員異動に着目して四季報を遡ると、注目されるのが2020年3月に39歳の若さでアミタホールディングスの取締役に末次氏が抜擢されたことです。末次氏は同年1月に事業会社アミタの代表取締役に就任しています。末次氏は、年功ではなく実力本位の人選で、標榜する未来デザイン企業の体現役を託されたものと思われます。

続いて業績面の確認です。「結い 2101」の運用基本理念には「社会の持続的発展の両立のために、事業性と社会性を兼ね備える『いい会社』に投資する」と明記しています。100%リサイクルをはじめとする社会デザイン事業を推進するアミタさんの社会性には異論ありません。しかし、いくら社会性が高くても、事業が継続しなければ意味がありません。そこで事業性の評価が必要となります。事業性とは、ビジネスモデル、経営力、財務力、技術力など、事業の継続性や成長性を有していることと考えられ、そのひとつの答えが業績となります。果たして、アミタさんの業績推移は?(次号につづく)
(資産運用部 五十嵐和人)


月次運用報告書結いだより137号掲載
「いい会社」企業情報