社長メッセージ 10分の1を超えて

「結い 2101」を設定しその運用を始めて11年半が経ちます。「結い」は皆で力を合わせる、「2101」は22世紀初年を意味します。「人と人、世代と世代を結ぶ豊かな社会を皆さんと共に創造したい」「100年を超えて続く投資信託をつくりたい」、という想いを投資信託の名前に込めました。

100年後を見据えて、今その10分の1が過ぎ、10分の2の10年の只中にいます。この間、そしてこれからも一貫してぶらすことがないのが「鎌倉投信の志」です。一言でいえば、「顔の見える信頼に根差したお金の循環をつくる」という世界観です。そして、このことの本当の素晴らしさを教えてくださったのが受益者の皆様でした。何度かお話したことですが、私の中での大きな出来事を二つ紹介させてください。

一つは、東日本大震災直後の受益者の皆様の投資行動でした。震災直後、日本の株式市場がパニック売りでどんどん値下がりする中で、「結い 2101」の受益者の投資行動はその逆でした。運用を開始して1年経ったときでしたが、その期間で最大の入金件数でした。お客様から多くのメッセージをいただきました。私はそのメッセージを投資先の経営者に伝えたところ、返礼のお手紙[写真下]をいただき、当時の受益者の皆様にお話ししました。私は、その時、祈りともいえるお金を預かっているのだと思いました。そして、「お金には想いを伝える力」があるのだと感じ、「信頼、信こそが貨幣である」と教わりました。
もう1つは、受益者の皆様の変化です。例えば、2016年横浜開催の受益者総会でマザーハウス代表の山口さんの講演を聴き、自らの人生を振り返りマザーハウスに転職されたIさんです。お店に伺うと、いつも「今とても充実しています。鎌倉投信と出逢い、受益者総会で山口さんとの出逢いがあったからこそ今の自分があります。本当に感謝しています」と出迎えてくれます。この言葉には、いつも心震えます。

このように、「結い 2101」の受益者の中には、投資先の経営者や社員の方々の話を聴いて、自分にもできる小さな一歩を踏み出す人が少なくありません。例えば、どうせ買うなら環境によいものを買おうとお金の使い方を考える人、ボランティアを始める人、Iさんのように人生を見直す人、様々です。こうした方々を観ていると思うことがあります。投資、お金の本質は「縁」をつなぐこと、 よい「出逢い」をつくること、そして「最大の出逢いは、自分自身との出逢いである」ということです。創業から10年が経ち、今では、お客様への経済的な貢献はもとより、人生における心の豊かさにどのように貢献できるか、が金融の使命だと私は思って仕事に向き合っています。このことに気づかせてくれた受益者と投資先の皆様に心から感謝します。

私たちは、仕事において、生き方において、お金の遣い方において、社会をよりよくすることができます。誰でも人や社会に希望と勇気を与えることができます。そう思って、自分にできる小さな一歩を踏みだす人がふえれば、日本は世界に誇れる国になるでしょう。そして、少額でも真心のこもったお金が集まり、信頼に根ざしたお金の循環ができれば、社会の生き金となり社会や経済に自律と秩序をもたらします。本来あるべき投資とは、信頼と信頼のつながりから生まれるこうしたお金の循環です。鎌倉投信が目指すものは、運用資産の残高ではなく、「信頼の残高」です。

「結い 2101」は、受益者数2万人、純資産残高500億円(※2021年9月25日総会時)を超えました。ここまで支えてくださった多くの皆様に心から感謝します。これからも鎌倉投信の志を曲げることなく、受益者や投資先の皆様と共に「人と人 世代と世代を結ぶ 豊かな社会」を創造していきます。

鎌倉投信株式会社 
代表取締役社長 鎌田 恭幸


月次運用報告書「結いだより」139号掲載