受益者総会 いい会社の経営者講演で感じたこと(その2&3)

(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

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◇◆◇━2021年10月15日━
受益者総会 いい会社の経営者講演で感じたこと(その2)
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。

前回に続き、受益者総会「いい会社」の経営者講演で感じたことを述べます。
今回は、社員の個性を大切にする「いい会社」として、「結い 2101」から投資し続けているトレジャーファクトリー 代表取締役社長 野坂英吾さんの講演「『もったいない』から始まった個性を活かす経営」からの紹介です。

「モノ」は持ち主に必要とされなくなった時に、その存在価値をなくします。
そうした「モノ」の価値を見出して必要とする人に届け、あたかも宝物を生む工場のような役割を果たしたいという想いで創業した会社がトレジャーファクトリーです。
家庭で不要とされた衣類・雑貨などのリユースを営む1店舗から始まった事業は、創業から26年が経ち、店舗数は213店舗に増え、業態はリユースを軸に10業態にまで発展しました。

驚くのはその業績推移です。
難易度の高い事業にも拘わらず、売上高は、きれいな複利曲線を描いて、右肩上がりで推移しています。
リーマンショックや東日本大震災、コロナ禍等、予測困難な大きな環境変化が続く中で、いったいどうすればこのような経営ができるのか、が私の最大の関心事でした。

20分という短い講演の中から感じたことは、野坂さんであれば、どのような事業をやっても成功させるだろうと思わせる、プロ経営者としての高い資質でした。

特に、
(1)分析思考力
(2)「微差・僅差」を積み上げる差別化力
(3)投資の時機を見極める力
です。

まず、分析思考力、情報を分析する力について感じたことです。

野坂さんは、何の事業で起業するかを決断する前、30名の創業社長の講演を聴き、「世の中がこうなったらいい」と思う50個の事業アイデアを列挙した中からリユース事業を選択しました。
その後、全国48カ所のリサイクル業者を回るなどして、成功するために必要なこと、業界常識から脱却する差別化のポイントを考え抜いてから事業をスタートしています。

数を挙げ、少ないサンプルから判断しないという野坂さんの分析思考は、単に発想を豊かにするためのものではありません。
独自性のある事業の種を発見したり、これなら人生をかけて挑戦できる、と思えるような情熱を喚起したりする力につながっている、と感じます。
強い好奇心を持ちながらも、敢えて自分の直観や好みに傾注しない冷静さにもつながり、判断の精度を高めます。
「直観や好みに傾注しない」は、なかなかできることではありません。

一方で、失敗から得た情報を徹底的に検証して次に活かすことへのこだわりも並大抵ではありません。
例えば、売れると思って仕入れた商品が売れないとき、なぜこの商品は売れないのか、なぜA店では売れるのにB店では売れないのか、などの検証です。
考えられる原因を洗い出して、その可能性割合まで示し、その仮説を一つひとつ検証し、改善につなげます。
こうしたこだわりの集積が、後に同社を飛躍に導く独自のPOSシステム開発へとつながるのです。

野坂さんの情報から物事の本質を冷静に見抜く力と、モノの価値を発見し、それを求める人に届ける喜びに対する情熱が相まって、事業をここまで成長させたのでしょう。
そうした経営者が持つ資質の大元を質せば、「自分を過信しない謙虚さ」にある、と感じます。
(つづく)

鎌倉投信株式会社 
代表取締役社長 鎌田恭幸



◇◆◇━2021年10月22日━
受益者総会 いい会社の経営者講演で感じたこと(その3)
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。

前回に続き、受益者総会「いい会社の経営者講演」で感じたことを書きたいと思います。
前回は、創業以来、一貫して右肩上がりの成長を続けている「トレジャーファクトリー」代表取締役社長 野坂英吾さんが持つ経営者としての資質の1つ目、「分析思考力」についてでした。

今回は、
(2)「微差・僅差」を積み上げる差別化力
(3) 投資の時機を見極める力
です。

(2)「微差・僅差」を積み上げる差別化力
リユース店というと何となく雑然としていて、清潔感がない印象を持つ人が少なくないでしょう。
しかし、トレジャーファクトリーのお店に行くと、まるで新品のように手入れされた商品が、整然と並べられている様子に驚かされます。
地域の顧客特性を踏まえて個性のある店舗をつくること、きれいな売り場、きれいな商品展示は、価値ある商品に気づいてもらうために常日頃から心掛けていることだそうです。

こうした微差・僅差の積上げの礎になっているのが、社員一人ひとりの個性を活かし、成長機会を与えていく野坂さんの社員への向き合い方にある、と感じます。
「育たない人財はいない。教え方を工夫すれば誰でも成長する」「できないと決めつけては絶対にいけない」という野坂さんの信念には、同じ経営者として頭が下がります。

右肩上がりの成長は、既存店の成長なくして達成できません。それを実践し、結果をだすのは、現場の社員一人ひとりです。
「事業の成長と人の成長は同義である」、このように語る野坂さんの社員の成長への強い想いが、それを可能にさせているのだ、と感じました。

(3) 投資の時機を見極める力
野坂さんが持つ資質の3つ目は、「投資の時機を見極める力」です。同社は、創業当時、徹底的に費用を削減し、僅か30万円で1号店を出店しました。
そして、軌道に乗り2店舗目を出店する時は、あえて小さな店を選びました。
次は、もっと大きな店、と思うのが野心的な経営者が下す通常の判断でしょう。
なぜ野坂さんはそれをしなかったのでしょうか。

野坂さんの頭の中にあった2店舗目とは、複数の店舗を同時に運営するのにどのようなプロセスや体制が必要か、いつ、誰が、何を、いくらで仕入れ、いくらで売れたか、などを徹底的に仮説検証するためのものだったのです。
そこで積み上がった検証結果を元に、当時としては700万円という大きな投資をおこない、独自のPOSシステムを開発しました。
それを以て、満を持して旗艦店となる大規模店を出店し、多店舗展開へと踏み出したのです。
実に戦略的です。

そして、リユースからスタートした事業は、今では、引越しや不動産の運営、終活・生前整理サービスなど10業態にまで拡大しています。
業態の拡大とは、新規事業への投資に他なりません。今後、さらに増えていくことでしょう。
しかし、業態が拡大しても決してぶれることがないのが、長く継続して成功してきたリユース事業から社会の潜在ニーズを冷静に分析し、新たな挑戦を付加していくという判断軸です。
すべて創業の原点に根差しているのです。

野坂さんは、経営において常に2つの目標を持つといいます。
長い視座に立った目標と足元の目標です。
なかでも、最も長い視座に立った目標が「徳川幕府のように300年続く会社をつくる」です。
「持続的に成長発展することこそが企業の使命であり、持続的に成長することによって多くの人の幸せに貢献できる」という信念からです。
以前伺った、「今まで事業の成功に慢心しなかったのは、当初から大きな目標を掲げ、強く意識していたから」という言葉は、今でも心に深く残っています。

鎌倉投信は、「100年支持される長寿投信を目指し、300年社会に貢献するいい会社を支援し、1000年続く社会を育みたい」という想いをもった運用会社です。
300年続く「いい会社」を志すトレジャーファクトリーのような会社を応援できることを嬉しく思います。
(つづく)

鎌倉投信株式会社 
代表取締役社長 鎌田恭幸


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