受益者総会 いい会社の経営者講演で感じたこと(その4&最終回)

(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

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◇◆◇━2021年10月29日━
受益者総会 いい会社の経営者講演で感じたこと(その4)
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。

今回も前回に続いて、先の受益者総会で感じたことをお伝えします。
今回は、受益者総会「いい会社の経営者講演」の後におこなった、アミタHD 熊野会長、トレジャーファクトリー 野坂社長と、「結い 2101」の受益者との対話から感じたことについてです。

投資先の経営者と受益者との対話は、受益者総会の企画の中でも、私が特に楽しみにしている時間です。
一般の投資家向け説明会の質疑応答とは一味違って、「結い 2101」の受益者は、思わずハッとするような問いを投げかけます。
事前に準備されたシナリオのない一問一答の中に、人生を賭して事業に向き合ってきた経営者の思想や生き様を垣間見るからです。

例えば、先の受益者総会での質問の一つが、
「貧富の差がどんどん広がる中、これから生まれる子供たちはどのような生き方をすれば幸せになるか」
でした。

この未来の子供の幸せを気遣う深遠な問いに、両氏は次のように述べました。
私なりの解釈を交えてその内容をお伝えします。

熊野会長:
「人間とは何か、を問う大切な質問だと思う。
モノをふやす工業的な仕組みによって市場拡大する時代は終わり、人類史上初めて地球環境の制約条件が(工業的な活動を)縮小させる方向に向かい始めた。
我々は常識を変えなくてはならない。
意識が常識を変える。
意識が変われば商品が変わり、商品が変れば社会が変わる。
意識の変化による生活のあり様が駆動力となって社会が変わる。
すなわち、我々の小さな努力によって大きな歴史はつくられるのである。

江戸時代、人口増加は止まり、経済圏は鎖国によって閉鎖されて制約条件が強まった。
ところが逆に無形性の文化が開花した。
その根源は、哀れ、弱さの哲学である。
自我主張ではなく、他者を思い、他者と共有できる価値をつくることが社会を豊かにした。
知識偏重の時代から意識が大切となる時代へと移った。
社会的動機性を価値に転嫁できるような挑戦者がふえることが次世代の希望へとつながる」


野坂社長
「ITの発達によって情報があふれ、かえって生きづらい世の中になった。
こうした世の中だからこそ個性を生かすことが大切になる。
わが社では、早い段階でシステムを整備した。
しかし、システムで現場を統制しようとすると結果はでなかった。
システムに頼ると人は考えなくなるからである。

そこでシステムを活用しながらも、人が考え、人が工夫することを取り入れた。
一つひとつの店舗に個性を持たせると自然と成長するようになった。
一見矛盾するようだが、システムを整えることで、人の強み、個性、得意なことを伸ばしやすくなることに気付いた。
大切なことは個性である。
個性を応援し、多様な価値観が共生できる社会を目指すことである。
こうした社会をつくることが未来の若者がより善く生きることにつながる」


二人のメッセージからは、他者や社会、未来に向けたあたたかい眼差しを感じます。
「自我主張ではなく他者、個性が生きる社会づくりにむけた一人ひとりの意識が未来を豊かにする」が、二人の共通のメッセージだったように思います。
そして、それを実現するのは、紛れもなく今を生きる私たちなのだ、と感じました。
それと同時に、「人は人を幸せにすることによって 自らも幸せになる」、熊野さんのいう「人間とは何か」の問いのヒントがここにあるのではないか、とも感じました。
(つづく)

◇◆◇━2021年11月5日━
受益者総会 いい会社の経営者講演で感じたこと(最終回)
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。

先の衆議院選挙で、野党は、議席を伸ばす好機を活かすことができず、自民党が安定多数を獲得しました。
中でも野党第一党は、小選挙区(局地戦)で健闘しながらも、比例区(全体)での支持が得られず、大きく議席を落としました。
その一方で、痛みをともなう改革の必要性を変わらずに訴えてきた政党の躍進は、目を引きました。

その結果から、特定の政党を支持しない無党派層は、一見すると国民に優しい、耳あたりのよい政策を信じていない。
与党にも野党にも変革を期待している。
この国の未来は、「改革」なくして生まれ変わることはない、という危機感を抱きながら選択したように感じます。

先の受益者総会でのアミタHD 熊野会長、トレジャーファクトリー 野坂社長と、ある受益者との質疑応答もまた、未来を見据えた危機感が伝わってくるものでした。

「コロナ後のあるべき社会はどのような社会か。消費者として、投資家として、私たち一人ひとりができることは何か」、という受益者の真摯な問いです。

これに対して、熊野さんは、次のように答えました。

「歴史の相似があるとすれば、今は、平安末期から鎌倉時代に似ている。
平安末期は、疫病、天変地異、騒乱にまみれた動乱期で、生きづらい時代だった。
しかし、公家中心の社会から庶民中心の社会へと移り、商業が発達し、新たな新興勢力が興った。
それによって上流階級のものだった宗教も庶民にとって身近な存在となった。

自身の夢を交えて語るとすれば、これからの時代は資源やエネルギーを奪い合う搾取型の経済システムではなくなり、社会起業家が新興勢力になる時代に突入する。
その時、「結い 2101」の受益者は、あたかも集光器のように社会を映し出し、社会を動かす当事者となる。

そして、社会起業家は、自社だけではなく、こうしたステークホルダーと共に豊かな社会を形成する存在となる。
社会起業家は、いわば社会価値の増幅装置ともいえる会社という器をつかって、社会的動機性を持つ新興勢力を広げる存在となるだろう。
その先に、生きる希望がある」

次に、野坂さんはこう答えました。

「新型コロナウィルスをきっかけに、便利になる側面もある。
例えば、非接触で多様な働き方やサービスを受けることができるようになった。
しかし、デジタル社会に進めば進むほど、逆に、人と人とのつながりをどうつくるか、が大きなテーマとなるだろう。
今日も非対面ながら、チャットで拍手をもらえたのは嬉しかった。
デジタルの中だからこそ、感情や心をいかに伝えるかが大切となる。

「結い 2101」の受益者は、投資先企業にとっては応援団である。
一人ひとりの応援がよいものを生みだす原動力になる。
投資家としても、消費者としても応援して欲しい」

お二人の言葉には、
「私たち一人ひとりは、まぎれもなくこれからの日本をつくる当事者である」
といった想いが込められているように感じました。

投票行為とは、政治家を選ぶ「選挙」だけにとどまりません。
何を買うか、どのような生き方をするか、どのような会社を応援するか、どの会社に投資をするか、もまた投票行為、すなわち未来の選択でしょう。
いずれも、未来をつくる一人ひとりの意思の表れであって、その小さな意思の積み重ねが社会を動かす力になるのだと感じます。

「社会を動かす力は、私たち自身である」
お二人の言外のメッセージを心に刻みたいと思います。

来年の受益者総会で皆様と再びお会いできることを楽しみにしています。
(おわり)
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