経営者との対話の視座 その1&2

(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

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◇◆◇━2021年12月10日━
経営者との対話の視座
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。

米国の独立系運用会社フィデリティの伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチは、日本企業の調査のために来日した際、会食の誘いには一切応じず、翌日訪問する会社の情報収集に余念がなかった、と同氏に何度も同行した人物から聞いたことがあります。

「結い 2101」の運用責任者(資産運用部長)の五十嵐は、投資先や投資候補先の経営者等と面談する際、過去10年以上の組織や事業の変遷を調べ、自分なりに分析した上でその場に臨みます。
面談の場で、自身の仮説や疑問点を丁寧に紐解きながら、会社の未来を予見する五十嵐の調査姿勢は、私の想像するピーター・リンチ像と重なります。

コロナ禍での資産運用部によるこうした調査は、もっぱらWeb会議でしたが、このところ、慎重を期しながら徐々にリアルでの対面機会もふえてきているようです。
先週、私も五十嵐と共に、投資候補となる二つの会社を訪問しました。
その場でのやり取りは、投資(候補)先との信頼形成、「いい会社」を観る視点、さらには経営者としての私自身の在り方を学ぶ上でも、参考になることが少なくありませんでした。

例えば、先週の面談の中で学んだことの一つは、経営環境が刻々と変化する中で、持続的に発展し続ける会社に欠かせないものは何か、といったやり取りからでした。

答えは次の四つ、
(1)経営者の情熱
(2)経営チームのバランス
(3)顧客、社会、市場への理解
(4)わが社は「なに屋」であるかを示せる力

言葉を替えると、
(1)困難から絶対に逃げない経営者の覚悟
(2)とりわけ、経営トップが自らの限界を知る力と適財適所
(3)徹底した顧客視点から価値を創造する力
(4)自社の存在目的を実現するビジネスモデルの構築力
です。

そして、こうしたやり取りは、恐らく、相手方の経営者自身にとっても、自らの会社経営を振り返る機会になったのではないでしょうか。

鎌倉投信は、投資先との対話の際、「いい会社」が持続的に発展成長するために資産運用会社としてどのような貢献ができるか、という観点を欠かしません。
そして、その観点から、経営者との対話においてとりわけ大事なことは、自社がこれからの社会に必要とされる存在であり続け、持続的に発展・成長するために必要となる普遍的要素や革新すべき要素を「経営者が自らに問いを立てる」ことができる対話相手となれるか否かにある、と感じます。

そのためには、運用者自らが高い視座を持つ必要がありますが、鎌倉投信は、そうした存在になり得る運用会社であると感じています。
これからも「いい会社」の経営者に認められる対話相手になれるよう努力し続けます。

◇◆◇━2021年12月17日━
経営者との対話の視座(その2)
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメルマガを読んでいただき、ありがとうございます。

前回のメルマガで、投資先の経営者と対話する際、経営者が自社の経営を振り返る機会となり、「自らに問いを立てる」ことができる対話相手となれるか否かが大事である、と書きました。
そして、資産運用会社である鎌倉投信は、そうした対話相手になれる可能性を秘め、「結い 2101」の運用責任者(資産運用部長)の五十嵐は、その資質を既に備えていると感じています。
そのことを五十嵐に伝えると、当人からこのような返信があり印象的でした。

「経験を重ねても、自分は対話相手に相応しいか、恐怖感に襲われる」

この言葉の中にプロ意識を感じるとともに、五十嵐が鎌倉投信にいることを誇りに感じました。
時間は、自分にとっても相手にとっても命であり、限りある資産です。
重責を担い、かつ多忙な経営者と対話する貴重な時間を、双方にとって価値あるものにしようとする五十嵐の姿勢は、お客様の大切なお金を預かる運用者としての責任への自覚に他ならないと思うのです。

さて先日、「結い 2101」から投資をする「いい会社」 サイボウズ(株)青野社長、林執行役員とのIR(Investors Relations)オープン面談の様子がライブ配信されました。

上場会社の場合、通常、四半期ごとに財務情報等が開示されます。
そこで運用会社は、投資先や関心のある会社とIR面談をおこない、事業の進捗状況などを確認しながら、投資判断につなげます。
しかしこうしたIR面談は、通常、非公開なので、対話の内容を個人投資家や社員が知ることはないでしょう。
それを公開、しかもライブでおこなうという、私が知る限り前例のない企画でした。
情報を公明正大に社内外にオープンにすることを理念に掲げるサイボウズらしい、果敢な挑戦だと思いました。

今回、五十嵐は、様々な質問の切り口がある中で、サイボウズの25年の歴史から観える「今」、そして「未来」を予見する上で欠かすことのできない、企業理念に関わる問いから始めました。
隣に座る私は、いきなりど真ん中に直球を放り込んだ、という印象でそのやり取りを聴いていました。


なかなか味わい深い一問一答のすべてをお伝えすることはできませんので、是非こちらをご覧ください。
「鎌倉投信×サイボウズ IRオープン面談」収録動画↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=7BC859YyUzc

そして、企業理念がどのように体現されているかを感じるには、現場を観ることが何よりも大切でしょう。
そのため、鎌倉投信は投資先を決める際、現地を訪れることを大切にしてきました。
サイボウズとのIRオープン面談の会場(同社本社)でも、担当の社員さんが、お子さんを連れて出勤され、まったく違和感なく自然体で仕事をしていました。
お子さんも親の仕事場であることを理解し、私たちの面談風景をおとなしく眺めている様子もまた、とても印象に残りました。
「企業文化とは、職場の空気に自然に溶け込んでいる状態をいう」、とその場面から教わった気がします。

こうした公開IRは一例ですが、様々な会社の活動や運用会社の個性的な取組みが知られる機会が広がることを期待しています。
(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

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