運用コラム 東証市場再編について

東証市場再編について


4月4日に予定されている東京証券取引所(東証)の市場区分再編を前に、東証は上場企業が選択した新市場区分の一覧を公表しました。以下では、市場区分再編による「結い 2101」への影響について説明します。

結論からいうと、東証の市場区分再編にともなう影響は短期的にはゼロではないが、中長期な視点でみれば極めて軽微であるということです。
「結い 2101」で投資している上場企業の、新市場区分の選択状況をまとめたものが図表1となりますが、東証一部上場の投資先企業のうち5社 がプライム市場ではなくスタンダード市場を選択しました。スタンダード市場を選択したウチヤマホールディングさんは、グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上の観点から新市場区分の移行先を検討し決議したと選択の理由を示しています。

図表1 投資先企業の新市場区分選択状況(基準日:2022年1月11日)

また、プライム市場を選択した45社の投資先企業のうち、移行基準日時点(2021年6月30日)でプライム市場の上場基準を満たしておらず、「上場維持基準への適合に向けた計画書」を提出することでプライム市場に移行できる経過措置を選択した企業が図表2となります。

図表2 プライム市場に移行できる経過措置を選択した投資先企業

東証市場再編による「結い 2101」への直接的な影響として懸念されるのは、TOPIX(東証株価指数)の構成銘柄から除外されることによる株式需給の悪化です。これに対して東証は、TOPIXの構成銘柄について、市場区分にかかわらず継続採用する方針を示しています。ただし、流通株式時価総額※100億円未満の銘柄は「段階的ウエイト低減銘柄」に指定され、東証は2022年10月~2025年1月にかけ10回に分けて徐々に対象銘柄の構成比率を低下させることとしました。そのため、スタンダード市場を選択した投資先企業や、プライム市場に移行できる経過措置を選択した投資先企業で、かつ、流通株式時価総額が100億円未満であっても、1回ごとのウエイト低減による影響は軽微であると想定しています。仮に、株式需給の悪化により株価が短期的に下落したとしても、企業の業績が安定的に成長していれば、長期的には企業業績を反映して株価は回復すると考えています。

東証が市場改革に着手したのは、東証一部上場を果たしてしまえば、後は安泰であるかのような錯覚を産業界全体がもってしまい、持続的な企業価値向上の動機付けが弱かったことに問題意識をもってのことと思われます。しかしながら今回の市場再編では、東証一部上場企業の8割以上がプライム市場へ移行することとなり、市場改革自体が「骨抜き」になったとの声もあがっています。鎌倉投信は、プライム市場移行企業には上場維持基準やガバナンス基準を形式的に充足するだけではなく、自社の個性を再認識し、独自性をもって企業価値向上に取り組まれることを期待します。また、投資家や株主においても、企業経営者と腹を割って意見交換できる信頼関係を構築し、価値向上を共創するパートナーとしての役割を果たしていくことが求められていると感じています。
※発行済み株式のうち、主要株主や役員等が所有する株式、金融法人や事業法人等が所有する株式、自己株式を控除した、流動性が高いと判断される株式の価値。
(資産運用部 五十嵐)