地方企業を元気にする前田工繊の「混ぜる」経営

「結い 2101」の投資先である前田工繊さんは、土木資材、建築資材、各種不織布の製造・販売をおこなっています。同社は2018年の創業100周年を機に、企業メッセージとして「前田工繊は混ぜる会社です」を掲げています。同社の取材をする中でこの「混ぜる」には色んな意味があることがわかりました。このメッセージを紐解いていきたいと思います。
  • 図表1:前田工繊 企業メッセージ(※1)

前田工繊さんの扱う山の斜面の崩落防止シートや、河川を護岸するための資材、道路の補強・補修をするための資材の多くは公共事業に依存しています。同社は公共事業の依存度を低減することなどを視野に2002年から積極的なM&A(企業の合併・買収)をおこなっています。M&Aの基本方針では、①原則、「モノづくり」の会社であること、②優秀な人財と特殊な技術、製品があること、③営業、生産体制に改善の余地があること、④過大なのれんが発生しないことを前提条件としていて(※2)、条件に合致する地方のモノづくり企業が続々とグループ入りしています。
  • 図表2:前田工繊グループの全体像(※3)

買収後はリストラをせず雇用を守り、前田工繊グループが持つノウハウとその地方企業のノウハウを「混ぜる」ことにより買収先の成長を後押し、新たな雇用を生みだしています。中でも親会社の経営破綻にともない2013年に前田工繊の傘下となった自動車向け鍛造ホイールメーカーのBBSジャパン(富山県高岡市)は、前田工繊による経営管理と積極的な設備投資を経て、10年足らずで売上高が2倍以上に拡大しました。今年の1月には、FIAフォーミュラワン(F1)世界選手権で採用される統一ホイールを全チームへ供給すると発表し、グローバルでの活躍機会を広げています。

「混ぜる」の具体例を見ていきましょう。

【技術を混ぜる】
「未来のアグリ」はビニールハウスを扱うグリーンシステム(福島)と酪農関連の資材を扱う北原電牧(北海道)が合併した会社で、両社の技術を混ぜた、省エネ効果が高い空気断熱ハウスを展開しています。
直近では、コロナ対策商品として取り扱っているアイソレーションガウンは、前田工繊の不織布の技術と「未来テクノ」の特殊備品向けに培った縫製技術で生み出されました(※4)。

【人を混ぜる】
出向による人財交流はもちろん、グループ会社の繁忙期には他のグループ会社の社員が応援に行くことがあるそうです。また同社の東京のオフィスには同じフロアに多くのグループ会社が同居しており、フリーアドレスで一緒に仕事をすることで新たなイノベーションが生まれる素地をつくっています。

これからも前田工繊の「混ぜる」ことによる化学反応が、地方企業を元気にし、同社を引っ張っていくことを期待しています。
(資産運用部 長田)
出所:前田工繊 決算説明資料(2022年6月期)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7821/announcement/75666/00.pdf
(※1)34ページ
(※2)30ページ
(※3)38ページ
出所:関東経済産業局
(※4)https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/seizou/column/column_051103.html
他にも販路を混ぜることで売上がアップした事例などが紹介されています。

月次運用報告書「結いだより」144号掲載
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