「国防とは何か」「新たな時代を拓く力に」

(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

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◇◆◇━2022年12月23日━
国防とは何か
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメールマガジンを読んでいただきありがとうございます。

12月16日、政府は、防衛費について、2023年度から5年間の総額を43兆円程度、年間では、最終年度の2027年度に8兆9000億円程度(2022年度当初予算5兆4000億円の1.64倍)と、大幅に増額することを閣議決定しました。
国連の常任理事国であるロシアによるウクライナ侵攻によって、世界の安全保障を取り巻く環境が変わった他、日本の周辺においても軍事的緊張が高まっていることなどが背景です。

それを受けて、防衛費の増額を何に使うのか、財源はどうするのか、専守防衛を見直すのか、といった議論が盛んです。
国民にとっても非常に重要なことですので、当然だと思います。
一方で、国防、すなわち「国を守る」とはどういうことか、を改めて考えた時、そもそも日本の30年後、50年後を俯瞰した国防のグランドデザイン(国の将来像)が描かれていないのではないか、と個人的には感じています。

国家・国民を守る国防とは、軍事的な防衛という観点だけで計れるものではないでしょう。
例えば、外交は元より、エネルギー政策、食料政策、社会の基盤をなす人口のバランス、教育や産業振興なども、国を守るために何一つ欠けてはならない重要な柱です。
もちろん、それぞれに対策は講じられてはいるものの、全体観を持った国家戦略の下に、予算も具体的行動ももっと本気で取り組まなければ、後世に多大な負担を強いることになりかねないと危惧します。

例えば、日本のエネルギー自給率は、わずか12%と、先進国の中で極めて低く、エネルギー資源の大部分を輸入に頼っている状況です。
食の安全保障ともいえる食料自給率は、戦後一貫して低下傾向にあり、こちらも先進国で最低レベルの37%(カロリーベース)にまで落ち込んでいて、いずれも抜本的な対策が講じられているとはいい難い状況です。

社会の基盤をなす人口はといえば、1990年の1.57ショック〔前年の1989年の合計特殊出生率が、特殊要因といわれた1966年(昭和41年)の「ひのえうま(60年に一度)」の1.58を下回ったことが判明したときの衝撃をいいます〕以降、様々な施策が講じられているものの、目立った改善は見られません。

日本の将来人口の予測では、30年後の2050年頃には1億人を割り込み、生産年齢人口(15~64歳)は、総人口の約50%である5千万人強と、現在の約70%にまで減少することが見込まれています。
生産年齢人口の減少と、(この言葉は、変えるべきだと思いますが)従属人口指数 (生産年齢人口に対する、15歳未満の人口と65歳以上の人口を合算した人口の割合)の増加は、労働生産性と国内需要(国内消費)に影響を与えますので最重要な政策課題の一つといえるでしょう。

それにも拘わらず、喫緊性がないからでしょうか、これらのことは重要な政策課題として国民的議論に挙がることはありません。
防衛費の議論が、真の意味の国防とは何か、を考えるきっかけになればと思います。


◇◆◇━2022年12月30日━
新たな時代を拓く力に
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメールマガジンを読んでいただきありがとうございます。

年明け2023年は、干支でいえば癸卯(みずのと・う)の年です。株式関係者からは、干支が持つ意味合いと過去の結果とを重ね合わせて、卯年から始まる辰年・巳年の3年間は、「卯跳ね、辰巳天井の黄金期」になると、株高に期待を寄せる声が聞こえてきそうです。

しかし、そうした楽観的な見通しは禁物でしょう。鎌倉投信は、市場環境や経済環境を予測した運用はおこなっていませんが、世界的にインフレなき経済成長を支えてきた前提条件がガラリと変わったからです。

大きくは、
一、冷戦終結後につくられてきた世界の政治秩序の転換
二、世界中どこからでも仕入れ、販売することができるグローバル経済の転換
三、インフレによる低金利から金利高への転換(金融緩和政策の大規模な変更)
四、企業活動における地球環境問題という制約条件の重荷
などです。

これらは、不可逆的で、株式市場にはマイナスの影響を与えるでしょう。こうした環境下において、運用者としては、リスク管理をしっかりとおこなうことが重要となり、「結い 2101」の運用にあたっては、今年、その点は特に意識してきました。来年も同様でしょう。

その一方で、こうした厳しい環境変化の中でも、例えば、「結い 2101」の投資先など、あくなき経営努力によってお客様や社会に価値を提供し、持続的に発展していくことに全力を傾けている企業の存在を忘れてはなりません。

そうした企業のひたむきな姿勢をみた時、投資家としては、こうした環境下だからこそ、株価変動に一喜一憂するのではなく、実態としての価値に着目して、将来価値が高まる可能性を秘めた投資先に腰を据えて投資していくことが肝要だと感じます。新たな年は、目先の株価ではなく企業の絶対的な価値、将来価値に着目する「長期投資」視点が欠かせない大事な年になりそうです。

さて、時が経つのは本当に早いもので、今年もあっという間に一年が終わろうとしています。毎週末皆様にお届けしているメールマガジンも年内はこれが最後、51回目になりました。コラムには、その時々に思ったことを述べてきましたが、今年の初めのメールマガジンのタイトルは「投資とは、未来を創る投票行動である」、でした。

「私たちが、COVID-19による社会情勢不安、気候変動、紛争、インフレや金利上昇、公的・企業債務の拡大等、不確実性の高い混沌とした時代に直面する一方で、既存の枠組みにとらわれない発想力とテクノロジー(技術)を駆使して、社会を変革する事業が様々な領域で芽生えつつある。投資にはこうした変革を喚起する力があり、一人ひとりの投資は、個人の資産運用を超えた、いわば『未来を創る投票行為』である」、といったメッセージを込めました。

金融市場を含め、当面、不安定な経済情勢、社会情勢が予想されます。私は、こうした状況を、新しい時代に向かう黎明期であると考え、前向きにとらえています。そして、鎌倉投信は、これからも資産運用を通じて新たな時代を切り拓く力になれたらと思います。

皆様、今年一年本当にありがとうございました。心から感謝します。
新たな年が、皆様にとって、よきご縁に恵まれる一年になることを心より祈念します。
(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

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