「会社が存続するための条件」「金融教育が真に目指すもの」

(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

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◇◆◇━2023年2月17日━
会社が存続するための条件
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメールマガジンを読んでいただきありがとうございます。

先日、資産運用部長の五十嵐と「いい会社」について雑談をする時間がありました。
話題の一つが、投資家への提供価値である資産形成の大元となる企業の成長と「いい会社」との関係についてのものでした。
もちろん、企業成長の尺度としての売上や利益は、企業の活動によって得られる副次的な結果の一つであって、それ自体を目的化するものではありません。
しかし、社員が創意工夫しながら世の中に必要とされる商品やサービスを提供する会社、時代の変化に適合しつつ革新を続ける会社は、自ずと成長するでしょう。
会社にとっての成長意欲とは、会社を持続させるために必要不可欠な要素に他ならないと思うのです。

新たな事業や商品・サービスは、それなりの価値・差別性のあるものであれば、世の中に受け入れられ、売上は伸びるでしょう。
しかし、それが世の中の環境変化に適合して進化し続けなければ、やがて成熟期を迎えて売上の伸びは鈍化し、更には減少に転じて衰退期に突入します。

会社の寿命は、事業が終わった時ではなく、売上が鈍化し、低下しはじめた時、つまり成長が止まった時なのです。

会社が存続するためは、既存事業の競争優位性を高め続けること、そして、新たな事業・業務領域の創出が欠かせません。
とりわけ一つの事業分野に特化する企業や、中小企業、スタートアップなどは、特定分野への集中投資と新たな事業の創出の両立が求められるので、より難易度が高まるでしょう。
設立して20年以上存続しつづける企業は、全体の1%に満たない厳しい現実の理由は、その点にあると観ています。

私が尊敬する経営者、クリロン化成工業の社長 栗原清一さんは、著書「父から子への経営学 価値と協働」(クリロンワークショップ出版)の中で、会社の存続に欠かせない経営革新について、次のように述べています。

経営革新には3つの段階がある。「革新」「改革」「改善」である。
革新は新たな枠組みの創生、改革は既存の枠組みの変革、改善は既存枠組み内での改良である。
既存事業は一見するとまだまだ改善の余地があるように見えるものである。
だが、(成長がとまり)経営革新が必要とされている状況では、経営革新と既存事業の改善とを同列に置くようであれば経営革新は実現できない。
既存事業は既に過去の事業なのだが、今もなお「現在の顔」をしている。

こうした時には核心を突く大胆な戦略を描く必要がある。
経営革新とは、「現在の顔をした過去との戦い」なのである。

経営革新を生む人と組織の力は、会社が存続するための責任を果たす上での必須条件です。
そのため、成長を生む経営革新への意欲は、「いい会社」の必須条件ともいえるでしょう。


◇◆◇━2023年2月27日━
金融教育が真に目指すもの
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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメールマガジンを読んでいただきありがとうございます。

先日、鎌倉投信が協賛する子供向けの「キャリア教育プログラム」の一環で、CHEERS株式会社が主催する「ヘンテコタウン2023ゆめピッチ」という催しに参加してきました。
プログラム全体は、主に小学生が、約3か月かけて、社会の課題や「いい会社」について学び、自分の夢を明確にして自分の言葉で発表し、最後はチームで資金計画を立ててその夢に関するお店を出す、というものです。

私が参加した「ゆめピッチ」は、このプログラムの一部で、年長さんから小学6年生までの22人の子供たちが、夢を描き、実現に向けて計画を立て、人前で発表するという内容でした。
宇宙飛行士になりたい、語学を学んで海外に住み日本のよさを世界に発信したい、プロゲーマーになりたいなど、子供たちが一所懸命に考えて夢を言葉にする姿を見て、とても頼もしく感じました。

催しの休み時間、このプログラムの卒業生で、中学2年になるという女性が私のところにやってきて、「株式投資を学ぶにはどうすればいいですか。とても興味を持っています」と、ハキハキした言葉で尋ねてきました。
これからの進路も明確で、とてもしっかりとした志と考えを持った中学生でした。

学校では、2020年度から段階的に、お金の管理や運用の仕方を学ぶ金融教育が義務化されています。
しかし、この中学生には、もはやそうした学びの必要はないでしょう。
彼女とのやり取りの中で感じたことは、金融教育の根本とは、今回の催しのように「ゆめ」、すなわち自分の想いを深堀りして言語化することを含め、自分自身で考える力を身に着ける機会を提供することである、と思いました。

鎌倉投信では、子供や学生だけでなく、法人受益者の社員向けに「金融の学び」に関するプログラムを提供する機会がふえています。
鎌倉投信が提供する学びとは、単に、投資や資産運用の知識、テクニックを教えるものではありません。
基礎的な知識や運用方法について話しながらも、金融の学びの本質は、投資を通じて自分自身が大切にする価値観(軸)を醸成したり、人や社会にいかに貢献するか、という問いを自らに立てたりすることにあると思っています。
なぜなら、いくら知識やテクニックを学んだとしても、そうした意識を根っこに持たない限り、資産形成で成功することは難しいと考えるからです。

来年から新NISA制度がスタートします。
利便性も高まりましたので、広く国民に普及し、真に国民の資産形成に貢献する制度になることを願っています。
さらにその過程において、家庭や学校で、表面的なものではない真の金融の学びを得て、自ら考える力を身に着け、色々なことに挑戦する人、新たな事業に挑戦する起業家がふえ、日本が元気になるとよいと思っています。
それこそが新NISAの本当のゴールだと感じます。

地道な取り組みですが、鎌倉投信も「金融の学び」を通じて、多くの人の資産形成、豊かなこころの形成に役立ちたいと思います。
(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

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