「日本の技術革新への期待」「鎌倉投信16期目に入りました」

(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

最新の内容をお読みになりたい方は、メールマガジンにご登録ください。
>>登録フォームはこちら


◇◆◇━2023年3月31日━
日本の技術革新への期待
━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇

皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメールマガジンを読んでいただきありがとうございます。

今週、日本の技術革新を期待させるニュースが注目を集めました。
理化学研究所が、スーパーコンピューターに代わる可能性を秘めた次世代型のコンピューター「量子コンピューター」の稼働を始め、インターネット上のクラウドサービスに公開したのです。

私は、こうした技術領域は門外漢ですが、従来型のコンピューターは、「0」と「1」の2進法を用いて計算するのに対して、量子コンピューターは、「0」と「1」とが様々に重なりあった「量子ビット」を、量子力学を応用して生成し、複雑な問題を短時間で解くことができると期待されています。
量子コンピューターは、現在のスーパーコンピューターに比べて計算速度が1億倍速いともいわれていますので驚きです。

実際に量子コンピューターが実用化されるまでには、乗り越えなくてはならない壁が数多くあるようです。
しかし、将来、これが実現し、年を追うごとに予測精度が高まっている機械学習などの技術と組み合わさると、新薬や新たな素材開発、物流、小売り、金融、気候変動、廃棄物の予測など、ありとあらゆる産業分野に革新をもたらすことは想像に難くはないでしょう。

一方、コンピューターや通信分野の技術革新に欠かすことのできない、もう一つの技術領域が電子回路です。
そのため、量子コンピューターを実用化するためには、電子回路を設計するための半導体技術の革新もまた、目が離せません。

半導体といえば、先週、物理学者で米国インテル社の共同創業者、ゴードン・ムーア氏が亡くなりました。
そのムーア氏が、「半導体の集積回路に搭載される素子の数は、約1.5年ごとに倍増し、加速度的に小型化・高性能化する」とする、「ムーアの法則」を提唱したことは有名です。
この法則は、いわば半導体産業の目標となり、世界の半導体メーカーは、この考えの中でしのぎを削りました。

その過程で、かつて世界の最先端を走っていた日本の半導体メーカーは、「微細化技術(半導体チップ上の回路線幅を細くしてより多くの回路を配置する技術)」でインテル、サムスン電子、台湾セミコンダクター(TMSC)といった世界のビッグ3の後塵を拝し、次第に力を失っていきました。

1995年、ムーア氏は、日経新聞の「私の履歴書」に、自身やインテル社のことを述懐しています。
当時、「私の履歴書」に日本人以外の人物が登場することは珍しく、米国の政治家「フルブライト」に続き、二人目でした。
その記述の中で、ムーア氏は、これまで実に多くの失敗を経験したこと、予見できる未来に対してリスクを恐れずに挑戦し続けることの大切さを記していたことを覚えています。

ムーア氏は、世界の半導体産業、ひいては様々な産業の発展、経済をけん引しただけではなく、多くの企業家や技術者の心の中に、「挑戦し続けることの大切さ」を残して旅立ったのではないでしょうか。

そして、日本が低迷していたこの半導体の製造分野でも、日本の技術が再び世界最先端に追いつく可能性が出始めているようです。
国力を左右するとても重要な技術分野だけに、関係する企業には、是非とも頑張って欲しいと期待しています。


◇◆◇━2023年4月7日━
鎌倉投信16期目に入りました
━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇

皆さん、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメールマガジンを読んでいただき、ありがとうございます。

関東では、桜の季節が終わり新たな年度を迎えました。
1年を四季で区切ると、わずか1日、2日短いだけなのですが、春(1~3月)は、時の移ろいをとりわけ早く感じるから不思議です。
冬から春にかけては、椿や梅、桜などが花開いては散り、季節の機微を五感で感じるからでしょうか。

時の早さといえば、今期、鎌倉投信は、2008年11月5日に設立して、早いもので16期目を向かえ、公募型投資信託「結い 2101」は、2010年3月29日に設定して14年目に入りました。
日頃、鎌倉投信を応援し、支えてくださっている受益者や投資先の「いい会社」、取引先、株主の皆様に心から感謝します。

そして、経営者にとって事業年度が改まるこの時期は、会社の活動を通じて、役職員を含めた会社に関わる皆様にどれだけ貢献できたかを振り返り、新年度に向けて、新たな気持ちで臨む大切な時期でもあります。
鎌倉投信の社長である私も、然り、です。

私は、会社およびその経営を担う者(役員に限りません)は、次の三つの責任を果たさなくてはならない、と考えています。
(1)社会に必要とされる商品やサービスを創造し、提供することによって社会に貢献する「経済的責任」
(2)会社の事業に参画する人(役職員)と社会とをよりよくつなぎ、仕事を通して、人の才能を開花させ、社会への貢献やその喜びを実感できる「場」を提供する「社会的責任」
(3)このような社会の中で新たな価値を創造する経済的機能と、人と社会とをつなぐ社会的機能とを統合させ、その仕組みを持続させる「存続への責任」
です。

このように考えると、経営学の世界的権威「ピーター F. ドラッカー」の最も有名な言葉、「企業の目的は顧客の創造である」は、少し広い概念で捉えなくてはならない、と感じます。

「顧客の創造」とは、鎌倉投信でいえば、「結い 2101」受益者や純資産残高が増えること、です。
しかし、様々な手段を駆使して、顧客の創造を実現したからといって「企業の目的」を達成できたとはいえないのではないでしょうか。
最近、不祥事続きで経営破綻したスイス第2位の銀行「クレディ・スイス」であっても、同社なりに顧客を創造し、長く世界の金融界に君臨できたことは、顧客の創造と企業の目的とが必ずしも一致しないことを示す、一例でしょう。

「顧客の創造」は、あくまで随伴目的であって、会社の真の目的は、会社に関わる全ての人の経済的利益、社会的利益、こころで感じる喜びや幸せの総和を生むことにある、と思うのです。

一方で、それを実現するためには、会社が担うもう一つの重要な責務、「存続への責任」を果たすことが何より重要です。

以前、メルマガのコラム「会社が存続するための条件」の中で、私が尊敬する経営者の著書を引用して、次のようなことを書きました。

「会社の寿命は、事業が終わった時ではなく、売上が鈍化し、低下しはじめた時、つまり成長が止まった時である。会社が存続するためは、既存事業の競争優位性を高め続けること、そして、新たな事業・業務領域の創出、すなわち経営革新が欠かすことができない。既存事業は既に過去の事業なのだが、今もなお『現在の顔』をしている。こうした時には、足元と未来を見据えて、核心を突く戦略を描く必要がある。経営革新とは、『現在の顔をした過去との戦い』である。経営革新を生む人と組織の力は、会社が存続するための責任を果たす上での必須条件なのである」

鎌倉投信の発展・成長は、同時に、当社に関わる全ての人にとって経済的価値、社会的価値、心の豊かさを生み出すものである、と実感しています。
今年度は、それを培ってきた今までの15年間を土台にして、これから5年後、10年後の鎌倉投信のありたい姿を描き、新たなステージに向けて歩み始める年にしたいと思います。
志を新たに、鎌倉投信の目的の達成に向けて邁進します。
(本記事は毎週金曜日に発行しているメールマガジンの再掲です)

鎌倉投信がお届けする「心を結ぶ」メールマガジン。是非ご登録ください。
>>登録フォームはこちら