神は細部に宿る その4 古民家物語後篇

そのお応えはこうでした。

まずは、「自分の家のつもりで仕事をする」のだそうです。

住む人の気持ちになって仕事をする、このことを親方から散々に叩き込まれたとおっしゃってました。

次に、家やお金の「大小で仕事に色をつけない」ことだそうです。

まさに今回のタイトル「神は細部に宿る」です。つまり小さな仕事、些細な仕事を一生懸命できる人は大きな仕事もできるというのです。大きな仕事は小さな仕事の積み重ねだからねと、笑顔でおっしゃってました。

そして、一つ一つ「粘り強くこつこつとやること」

瓦や屋根、家の周りの自然環境を考えながら仕事をするためには、急いではだめなのだそうです。当然と言えば当然ですが、現実にはなかなかできることではありません。

工期や予算がある中で手を抜こうと思えばいかようにでもなるのです。しかし、プロというのは、誰が見ていようが見ていまいが決して手を抜くことはないのです。

「土台が大切である」

瓦も瓦だけで活かせるものではない。やはり瓦を載せる土台やハリが大切なのだそうです。そうしないと10年、20年たった時に具合が悪くなるのだそうです。

「時として遠くから眺める」

屋根に瓦を載せるにも調和やバランスが大切なのだそうです。調和やバランスは近くからでは分かりません。屋根を降り遠くから眺めることで見えない物が見えてくるようです。当時、職人さんが家から離れて屋根を眺める姿を何度も見かけたのを思い出します。

職人さんがお話になったこの五つのことは、事業経営の本質を突いていると思い感嘆しました。
小さいことを何十年も厭わずにこつこつと積み上げてこられた方の言葉には嘘が無く説得力がありました。とても有難い勉強をさせていただきました。