「勘」を磨き 「運」を導くもの ~ 前田工繊 (その2)~

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皆様、こんにちは。鎌倉投信の鎌田恭幸です。
いつも鎌倉投信のメルマガを読んでいただきありがとうございます。

先週末2月2日(土)、「愛」を経営理念に、生後18ヶ月までの乳児が使う製品づくりを通じて、世界中の家族の幸せを育む「いい会社」、ピジョンの山下茂社長に講演いただきました。山下社長の講演内容は、また別の機会に伝えますが、ピジョンの企業価値と社会価値創造に向けた事業や、「社内でも話したことがない」という山下社長ご自身の経験に基づく人生観等、たくさんの学びがありました。当日参加いただいた受益者の皆様、本当にありがとうございました。ブログ等でも紹介していただき感謝します。

さて、前田工繊 訪問記の続きです。先週のメルマガでも書きましたが、昨年創業から100年を迎えた前田工繊さんは、もともと織物業を営んでいた大企業の下請けでした。そこから、「混ぜる」精神で、得意とする技術を「てこ」に可能性のある分野を開拓し、社会に必要な様々なインフラをつくる会社へと発展しました。

前田会長は、混ぜ合わせによってシナジーが生まれるかどうかの決断の根拠は「勘」、だといいます。私は、「勘」には、二つの種類があると思っています。いわゆる当てずっぽうのどっちに転ぶか分からない「どた勘」と、根拠のある確度の高い「勘」です。前田会長が持つ後者の「勘」は、「センス(感性)」といってもいいかもしれません。そして、勘の確度を高める感性は、日々の「心がけ」によって磨かれるものでしょう。日々の「心がけ」は、「感性」を磨き、感性が磨かれることから湧出する「勘」の働きには、よき「縁」をつなぎ、「運」を導く不思議な力があります。目に見えないこうした関係性は、優れた経営者に通じると、私は感じます。
前田会長との対話の中で、とても印象に残った二つのエピソードは、このことを連想させるものでした。「信用・信頼の積上げ方」と「物事の捉え方」に関して、です。

前田会長は、若い時から、経営状態のよし悪しに関係なく、こまめに銀行廻りをされていたようです。お金を借りる立場ですので、当然、と思われるかもしれませんが、実践できる経営者は稀でしょう。しかし、前田会長は、立場上の義務感から、そうされていたわけではありません。お金を借りている者が、債権者に対して、お金を何に使い、どのような状態になっているか、をきちんと説明することは「あたり前」、だと考えていたからだと思います。根底にある価値観は、「信義」「お金に対する誠実さ」です。
話を伺いながら、前田会長は、「お金を大切にしてきた経営者であること」「自己の損得のためにお金を利用する経営者ではない」と感じました。

一方で、お金に係る汚点は、国税調査で多額の追徴を課せられた時でしょう。1989年、会社が順調に発展し始めた頃、国税庁の税務調査が入り、多額の追徴金を徴求されたそうです。普通は、税務署の対応に不満を抱くものですが、前田会長は、「これがあったお陰で社会における公器性」を強く意識するようになったと、感謝されたのです。前田会長は、その時の税務調査官との「縁」を今でも大切にされ、調査官が国税庁を退官された後に、わざわざその時のお礼を伝えに訪問されたと伺いました。

「すべてが出会い。好奇心を持って、一所懸命に仕事をしていると必ずいい出会いがある。」
こうした自然体の言葉の中に、会社経営において大切にすべきことが詰込まれているように感じました。(つづく)


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