【報告】「いい会社の経営者講演」萩原工業㈱

2019年5月19日 電気ビル共創館(福岡市)、5月25日 RCC文化センター(広島市)にて、萩原工業株式会社 代表取締役社長 浅野 和志(あさの かずし)様をお招きし、同社の経営理念やコア技術について講演いただきました。参加者の皆様からは積極的な質問があり、浅野社長のお人柄や同社のポテンシャルを感じ取れるご講演でした。

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<「結い 2101」投資先の ”いい会社” 紹介>

萩原工業株式会社
設立:1962年11月 
本社:岡山県倉敷市
紹介:
ポリエチレン・ポリプロピレンを主原料とした合成樹脂繊維「フラットヤーン」を用いた関連製品、およびフラットヤーン技術を応用したスリッター等、産業機械の製造・販売。2018年、第8回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞(人を大切にする経営学会らが主催)において、「経済産業大臣賞」を受賞。鎌倉投信は同社を「人」というテーマで評価しました。
詳細な投資理由は、当社HPでご覧いただけます。
https://www.kamakuraim.jp/the-company-finder/hagihara/
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●萩原工業の沿革

萩原工業さんの本社がある岡山県倉敷市はお米が育ちにくい塩分を多く含んだ土壌であったため、綿や井草など繊維産業が栄えた町です。萩原工業さんの前身である萩原商店は、倉敷の特産品でもある藺草(イグサ)を用いた茣蓙(ござ)の問屋として、1892年に創設されました。
茣蓙は横糸が藺草、縦糸が綿氏からなる織物ですが、「この縦糸をプラスチックで代替したら品質が安定するのではないか」という着想が萩原工業の主力製品を支える「フラットヤーン」の始まりです。

●萩原工業の企業文化

同社では経営理念が大切にされています。

「萩原工業はフラットヤーン技術を大事にしながら、
常に変革し続け、世のため人のために役立つ会社であろう」

という理念は、月に2度の合同朝礼で唱和されているそうです。この理念を噛み砕いて表現すると

①フラットヤーン技術という本業を大切にし、本業以外の事業に手を広げない
②健全な危機意識を持ちながら、本業の中で変化を取り入れ続ける
③その結果、社会の役に立つ

という3つのポイントに換言することができます。こういった経営姿勢が後述の製品戦略に反映されています。

経営理念を実践していく上で、浅野社長が心掛けていらっしゃるのが
「社長らしくない社長を目指す」
とのことで、社員の方々と積極的にコミュニケーションをとり風通しのよい社風を作られています。

取組の一例を挙げると、国内の全社員に向けて、誕生日に直筆のメッセージカードを添えたバームクーヘンをプレゼントしています。
メッセージを送ることで、社員の近況が頭に入り、一人一人と会話をしているような心境になるそうです。
「貰う方は年に一回なので、毎年同じメッセージにならないように毎年控えとしてコピーをとり、社員の顔写真や社員の近況等を記したメモと併せて、社長室内の掲示板に一覧化している」といった工夫をされています。
前社長から引継いだ仕事で一番大変だと冗談交じりに語っておられました。

また、「製造業なので現場が命」と考え、部長職以上を交えて月一回工場を訪問しています。訪問を通じて、各工場の長所を発見し、他工場へ広めていくそうです。

その他、「当たり前のことを当たり前にできる会社にすること」を目指し、
●朝の「おはよう」
●笑顔でコミュニケーション
●51点主義
(管理職は悪いところを見がちなので、よいところを見つける努力をする。)
といったことを大切にされています。

講演に同行してくださった広報の江原さん曰く、「確かに社長らしくない(笑)。話しかけやすい雰囲気をつくってくれるので何でも気軽に相談できる。感情的に怒るシーンを見たことがない」とのことでした。
ここで挙げた取組に限りませんが、社内の風通しの良くすることで、改善提案が年間5,000件も集まり、同社の「変革」の基盤が作られているように感じられます。

社員教育では、
「気付きに優る教育なし」
ということを意識されています。

「教えても学ぶ気がない社員は学ばない上、身につかないので時間の無駄になる。
いかに気付かせることへ注力するかが重要」といった考えです。
英語学習を例に挙げると、通訳をつけずに一人で海外へ出張させるそうです。
現場で苦労した社員は、英語の必要性に気づき、懸命に勉強するようになるとのことです。

社員を大切にする経営姿勢は結果として数値に表れてきます。
まず「平均勤続年数」が16.8年(2018年10月期)と高い水準です。
この数値は浅野社長が経営指標として重視されていて、もちろん辞めたい人を無理やり引留めることはしませんが、まだまだ向上への改善を試みているそうです。
また、正社員比率86.9%(※)、残業時間月7時間程度という数値も非常に健全な水準ですが、「メールは定時の時間内に」という施策をルール化するなどして改善を試みています。
( ※「パートのままがいい」という従業員が一定数いるため、100%を達成するのは困難であるとのこと)

●萩原工業の製品

同社製品にはフラットヤーンや、それにまつわる技術が利用されています。
フラットヤーンとは、軽くて強い平らな合成樹脂繊維です。
原料であるポリエチレンの小さな粉を溶かし、薄く筒状に伸ばしてフィルムを作り、フィルムを細く切り、熱板とロールを使って伸ばすことで製造されます。
完成した糸は1本ずつ機械で巻き取っていきます。
さらにフラットヤーンを織り、ブルーの樹脂をラミネートしてできるのが、同社の主力商品であるブルーシートです。
この「切る」「伸ばす」「巻く」「織る」の4つの技術が、同社の『中核技術』となります。

同社では「切る」「伸ばす」「巻く」「織る」などの専門技術を深化させ、他社で真似できない様々な付加価値を加えていることから、価格が安い輸入品との価格競争に陥ることは少ないそうです。
お客様の関心があることが前提ですが、他社と違うユニークな競争力・技術力を伸ばしていくことが同社の製品戦略です。
本業以外の魅力的な市場に惑わさず、あくまで中核技術を中心に事業展開する経営姿勢を「疑り深い」と浅野社長は表現されていました。

「たかがシートだが様々な機能、需要がある」
とのことで、一口にブルーシートといっても同社には様々な機能や工夫が存在します。
例えばブルーシートの隅に空いている穴には、アルミハトメが利用されているのが一般的ですが、同社はアルミを使わずにアルミを用いた場合と同等の強度を持つ「ジョイントホール」を開発されました。
これによりゴミの分別が不要になり、利用者の手間を省くことができます。

また、工事現場で用いられるブルーシートには防音性能が求められますが、一般的に防音性は重さに比例する一方で、重いものは高所で利用しにくいため、これまでは防音性能と作業のしやすさのどちらかを選ばなければいけませんでした。
そういった工事現場のニーズをもとに、同社は軽い防音シートを開発することに成功し、ニッチ市場を獲得しています。

デザインについても改善を重ねています。販売当初は爽やかなブルーを選んだそうですが、犯罪現場で用いられることが多くなり、今ではネガティブなイメージを持たれる傾向があるそうです。
そういったイメージを払拭すべく、開発されたのが「和みシート」です。景観を重視するシーンで用いられ、例えば隅田川花火大会の公式シートに採用されています。
過去、公式シートがブルーシートだった頃は、捨てられていましたが、「和み」だと持ち帰る人が多く、ゴミの散乱を防ぐ効果もあったようです。

織物以外ではバルチップが同社のトップシェア商品です。バルチップはフラットヤーン技術を応用したモルタル・コンクリート補強繊維です。
「プラスチックの破片に見えるが様々なノウハウが凝縮されている」とのことで、バルチップが混ぜられたコンクリートは耐久性が上がり、工事の際の省労力化にも役立っています。

また、「切る」「巻く」を徹底した機械「スリッター」も同社の主力商品の一つであり、スリッターを通じて私たちの身の回りにある様々な商品が作られています。

質疑応答

福岡・広島での講演では、参加者の皆様から活発な質問があり、浅野社長が一つひとつの質問に丁寧に回答されていたのが印象的でした。その一部を紹介したいと思います。

Q:熊本の震災時にブルーシートには大変お世話になりました。耐久性が高く、輸入製品がボロボロになる中、同社製品は破れませんでした。
非常時にメーカー名が萩原工業だと分かることは重要なので、分かるようにしてほしいです。
A:ご指摘に感謝します。震災時には、経済産業省からシートの安定供給を依頼され対応しています。萩原のシートだと分かるようにしたいと思っています。

Q:昨今、脱プラスチックの流れが強く意識されています。萩原工業ではどのような考えで、対応していくのでしょうか。
A:悩んでいます。プラスチックは生活に必要であり全く使わないことは非現実的なので、捨てないようにしてもらう工夫をするしかないと考えています。
当社製品は焼却時に有毒ガスは出ないので可燃ゴミとして処理していただきたいです。
また、ブルーシートを回収するシステムを作れないか検討中です。なお、生分解性樹脂も検討していますが、現状ではコストが高くなってしまうので、引続き開発を続けていきます。

Q:働き方改革についてどうお考えでしょうか。
A:単純に「休め」ということではなく、「メリハリ」をつけて働くよう社員には伝えています。
朝礼で帰社時間を宣言させ、仕事の終了時間を意識させるといった取組をしています。
終身雇用については、当社は現在65歳までですが、70歳に引き上げるのは避けて通れないと考えています。

Q:人間関係構築で意識されていることがあったら教えてください。
A:ともかく喋ることを意識しています。次第に何かきっかけが見つかり打ち解けられることが多いと感じています。

Q:今日の講演は非常に有益な会でした。今後もこういった個人向けの説明会をやって欲しいです。
A:株主が少ない四国を回ろうかと考えています。人数が少なくても実施します。

Q:「ハミダセ アミダセ」というコーポレートスローガンを作られた経緯を教えてください。
A:もともと「革新と創造」という方針を立てるつもりでしたが、若者にとっては「ピンと来ない」標語であったため、誰一人ついてこなかったように思います。
今はわかりやすい形で当社の理念を表現できており、浸透しやすくなったと感じています。

Q:改善提案が多い理由は何でしょうか。
A:紆余曲折ありました。最初は1件につき〇〇円と金銭のモチベーションを設けましたが、報酬目当ての中身の薄い提案があまりにも多く出すぎたためやめました。
現在ではよい表彰のみにお金を出すこととし、月に一度の評価委員会で決めています。また、競争してもらうことと改善の芽を摘まないことを意識して施策を実施しています。
例えば、トイレに部署ごとの提案件数を掲示し競争意識を刺激しています。
改善の芽を摘まないためには、例えば「工場が暑いので空調設備の増強をすべき」といった提案に対して、すぐに実施できないから「我慢しろ」で終わりにするのではなく、
「5年かけて全工場の空調機器を少しずつ導入するから待って欲しい」といった伝え方の工夫をしています。

Q:研究開発費はどれくらいでしょうか。
A:研究開発費は5億程度ですが、絶対値としては引続き上げないといけません。
例えば、シート一枚の耐候試験(何年もつか)をするのに今まで外部委託していましたが、時間がもったいないので、分析機器を買うことで内製化し、時間のロスを減らしています。

Q:経費削減、特に工場の自動化について取組があれば教えてください。
A:経費削減は工場の自動化によるところが大きく、当社の笠岡工場も自動化を避けて通れません。
現在はまだまだ「ハミダセ」ていません。「当たり前」の発想を変える必要があり、例えば「フォークリフトやクレーンを使うな」と方針を出しているが、現在進行中です。

Q:為替リスクや原料価格変動リスクは大きいのでしょうか。
A:為替リスクについては、輸入と輸出の両方があり、概ね相殺されています。ナフサ価格には影響を受けますが、取引先と交渉の余地があると考えています。

まとめ

今回の講演では、萩原工業さんが、社員の幸せを第一に考え、技術革新に注力している「いい会社」であることを改めて実感できました。
浅野社長、江原さん、受益者の皆様、休日の中ご協力・ご参加いただき本当にありがとうございました!

さて、最後に受益者総会のご案内です。今年の第10回「結い 2101」受益者総会では、萩原工業さんにも展示でご協力いただきます。
第10回「結い 2101」受益者総会は、2019年8月30日が申込期日となります。遠方の方はWEB参加(ライブ配信)もできますので、受益者の方、是非ご参加ください!
(資産運用部 橋本研一)
  
第10回「結い 2101」受益者総会 詳細・申込はこちら↓
https://www.kamakuraim.jp/post-99854/


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